Plant Variety Protection Act Study Group
種苗法研究会
品 種 保 護 法
成立 1985年12月11日 (BGBl.I S.2170)
全面改正・公告 1997年12月19日 (BGBl.I S.3164)
最終改正 2017年4月13日 (BGBl.I S.872)
第1編
品種保護の要件と内容
1条(品種保護の要件)
(1)品種保護は、植物品種(品種)が次の場合にこれに付与される。
-
区別性具備
-
均一性具備
-
安定性具備
-
新規性具備
-
登録可能な品種名称の付与
(2)共同体品種保護の対象となっている品種に対しては、この法律による品種保護は付与されない。
2条(概念規定)
この法律における語の意義は次のとおりである。
1. 種 :植物種、並びに、植物種の集合体及び小区分
1a. 品種:最下位序列と考えられている特定分類群内にある植物体又は、そこから再び完全な植物体を得ることができる限度での植物体部分の総体であって、品種保護付与の要件に該当するか否かに関係なく、
a)一特定遺伝子型又は複数遺伝子型の特定の組み合せから生ずる特性等の表現によって限界づけられうるものであり、
b)これらの特性等の少なくとも一の表現によって、全ての他の植物体又は植物体部分との区別がなされうるものであり、かつ、
c)変更を受けずに増殖されうるそれの性質に関して、均一であると看做されうるものであること
2.種苗:植物体の生産用又はその他植えつけが予定されている、種子を含む植物体及び植物体部分
3.流通におくこと:提供、販売のための在庫、売出及び他者に対するあらゆる引渡、
4.出願日:連邦品種庁への品種保護出願の到達日、
5.締約国:欧州経済圏に関する協定の締約当事国、
6.同盟メンバー:植物育成の保護のための国際条約の構成員である、国又は国際機関。
3条(区別性)
(1)ある品種が、少なくとも1つの重要な特性の表現において、出願日に公知の全ての他の品種と明確に区別される場合には、その品種は区別性を具備している。連邦品種庁は、あらゆる種に関して、照会に基づき、その種の品種の区別性にとって重要であるとみなす特性を通知する;その特性は正確に認識可能であって、かつ記述可能でなければならない。
(2)品種は、とりわけ次の場合には、公知である。
-
それが公的品種目録に登録されているとき、
-
公的品種目録へのそれの登録出願が既になされていて、その出願が受理されているとき、
又は、 -
その品種の種苗又は収穫物が、既に営業目的で流通におかれているとき。
4条(均一性)
品種は、その増殖の特別性に基づく偏りを無視すれば、区別性にとって決定的な特性の表現において十分に均一であるという場合には、均一性を有する。
5条(安定性)
品種は、毎増殖後に、又は、繁殖周期のある事例では毎繁殖周期の後に、区別性にとって決定的な特性の表現において変化なく存続している場合には、安定性を有する。
6条(新規性)
(1)品種は、出願前に、当該品種の植物体又は植物体部分が、権利者又はその前主の同意をもって営業上の目的で他人に対し交付されることが全くなかったか、又は下記期間内でのみその交付がなされた場合には、新規であるとみなされる:
-
ヨーロッパ共同体の中において1年間、
-
ヨーロッパ共同体の外において4年間。但し、ぶどう(Vitis L.)及び樹木種については6年間。
(2)次の引渡がなされた場合には新規性の成立を妨げない。
-
法規定に基づいて官公署に対してなされる引渡。
-
第三者と権利者との間に成立した契約又はその他の法律的関係に基づいて、権利者のための生産、増殖、調整又は保管の目的のためにのみなされる、第三者に対する引渡。
-
「ヨーロッパ共同体の作業仕様に関する条約」54条第2項の意味における団体間であって、その一方が完全に他方に帰属しているか、又は双方が完全にその種類の第三の団体に帰属している場合にその団体間でなされる引渡。;但し協同組合についてはこれは妥当しない。
-
その植物体又は植物体部分が試験目的のためか、又は新品種の育成のために取得されたのであって、その引渡のときにはその品種に関していないという場合に、第三者に対してなされた引渡。
-
1928年11月22日の「国際的展示に関する条約」(1930年5月5日成立の法律、RGBl.1930 II 727頁)の意味における公的展示もしくは公的承認済み展示、又は、ある締約国によって同等と認められその領土内で行われた展示への、展示目的の引渡、又は、そうした展示に帰せられる引渡。
(3)ある品種の種苗であって、別品種の生産のために継続して用いられるものは、その別品種の植物体又は植物体部分が引渡たされた時に初めて、第(1)項の意味において引渡たされたものとみなされる。
7条(品種名称)
(1)品種名称は、次の第(2)項ないし第(3)項に定める排除事由が存しない場合に登録されうる。
(2)その品種名称が次の場合に該当するときは排除事由が存在するものとする。
-
とりわけ言語的理由により、品種の特徴づけに適していないとき。
-
識別力がないとき。
-
ある品種が、別品種の継続的な生産のためにのみ定められている用途を有するのではない限り、数字からのみ成りたっている場合。
-
ある締約国において又は他の同盟メンバーによって、同一又は近縁の種の品種が、公的品種目録に現に登録されているか又は過去に登録されていたか、又は、そのような品種の種苗がその品種名称で流通におかれていた際のその品種名称と、同一又は混同可能である場合。但し、その品種がもはや登録されず、もはや栽培されず、かつ、それの品種名称が大きな意義を有しない際には、この限りではない。
-
誤導可能性あるとき。殊にそれが、その品種の由来、性質、もしくは価値についての、又は、原始育成者、発見者その他の権利者についての、誤った観念を惹起する性質を有しているとき。
-
他に迷惑を及ぼすおそれあるものであるとき。
連邦品種庁は、上記4にいう近縁の種とみなされるものを公告する。
(3)その品種が既に、下記1又は2の地において、公的品種目録中に登録されたか、又は、そのような目録への出願がなされていた場合には、そこに登録された、又は、届出された品種名称のみが登録適格を有する。但し、上掲第(2)項による排除事由が妨害しているか、又は不服申立人が第三者の権利が妨害していることを疎明した場合には、その限りではない。
記
-
他の締約国又は同盟メンバー
又は -
連邦品種庁によって公告された確認によれば、ヨーロッパ共同体又は欧州同盟の法的文書中で、共同体品種カタログに関するガイドラインのそれに適合する規定に従って品種を評価している、その余の国
8条(品種保護を求める権利)
(1)品種保護を求める権利は、品種の原始育成者もしくは発見者、又はその権利承継人に帰属する。複数の者がその品種を共同で育成し又は発見した場合には、その権利はこれらの者の共有に属する。
(2)出願人は連邦品種庁の手続において権利者と推定される。但し、品種保護の権利が出願人に属さないことが連邦品種庁に判明した場合はこの限りではない。
9条(無権出願人)
(1)無権限者が品種保護を出願した場合には、権限を有する者は出願人に対して、出願人が品種保護付与請求権を自己に移転すべきことを要求することができる。
(2)無権限者に品種保護が付与された場合には、権限を有する者は、品種保護所有者に対し、同人が品種保護を自己に移転することを要求することができる。この請求権は、品種保護原簿への登録の公告後5年をもって消滅する。但し、品種保護所有者が品種保護取得の際に善意でなかった場合にはこの限りでない。
10条(品種保護の効力)
(1)品種保護は、10a条及び10b条の留保の下で、品種保護所有者のみが次の権限をもつという効力を有する。
-
保護された品種の種苗を
a)生産すること、増殖目的のために調整すること、流通におくこと、輸入又は輸出すること、
又は、
b)上記a) に挙示されている目的のいずれかのために保管すること -
その余の植物体又は植物体部分、又はそれから直接に得られた加工品であってそれの加工のために品種保護所有者の同意なしに種苗が使用され、かつ、品種保護所有者がこの使用について自己の品種保護権を行使する機会を有しなかった場合のものについて、上記1の行為を行うこと。
(2)第(1)項記載の品種保護の効力は、次の品種にも及ぶものとする。
-
保護された品種(出発品種)に本質的に由来する品種であって、出発品種自体が本質的に他に由来する品種でない場合。
-
保護された品種と明確に区別されない品種、又は、
-
その生産のために、保護された品種の継続的な使用が必要とされる品種。
(3)次の場合には、品種は本質的に由来する品種である。
-
品種の育成又は発見のために、出発品種か、又は、それ自身が出発品種に由来している他の品種かが、出発物質として圧倒的に使用されていて、
-
品種は明確に区別性を有しており、更に、
-
品種は、用いられた導出方法から生ずる差異を無視すれば、出発品種の遺伝子型か又は遺伝子型の組み合せに起因する特性の表現において、出発品種と本質において一致している。
10a条(品種保護の効力の制限)
(1)品種保護の効力は、次の場合には10条第(1)項に規定する行為には及ばない。
-
営業目的を有しない私的な領域内の行為、
-
保護された品種に関連する試験目的のための行為、
-
10条第(2)項に規定されている品種を除く新品種の育成及び当該新品種に関する10条第(1)項に挙示されている行為。
(2)品種保護の効力は、更に、営農家が、第(3)項及び第(6)項に規定されている自己の義務を遵守している限りは、本法添付の一覧表中に記載されている種の保護品種(但し、雑種・合成品種を除く)の種苗の栽培によって自営設備中において取得し、そこで種苗として用いる(継続栽培)収穫物には及ばない。その収穫物は、継続栽培の目的のために、営農家により又は同人からその委託を受けた企業(調整業者)によって調整されたものでもよい。
(3)この継続栽培の許容性を利用する営農家は、品種保護の所有者に対し相当の対価を支払う義務を負う。対価は、同一地域で同一品種の種苗の生産のために11条による実施権に基づいて合意される額よりも明らかに低額であるときに、相当であるとみなされる。
(4)品種保護の所有者と営農家との間の合意については、その対価の相当性に関し、それらの職種団体の間の対応合意を基準にすることができる。それらの合意は種子分野の競争を排除するものであってはならない。
(5)第(3)項に基づく支払義務は、共同体品種保護に関する1994年7月27日付理事会規則(EG)Nr.2100/94(ABl.EG Nr. L 227 S.1)の第14条第(3)項の第3 ダッシュに定められている小規模農家に対しては適用しない。
(6)この継続栽培の許容性を利用する営農家、並びにその委託を受けた選別業者は、品種保護の所有者に対して、継続栽培の量に関する情報提供の義務を負う。
(7)連邦食料農業省は、共同体品種保護の一覧表と一致させるために必要ある場合には、本法末尾添付の文書に記入されている種の一覧表を、法規命令によって変更することができる。
10b条(品種保護の消尽)
品種保護は、品種保護所有者により又はその同意をもって流通におかれた、保護された品種の、又は10条第(1)項1号による品種保護が同様に及ぶとされる何らかの品種の、植物体、植物体部分又はそれから直接に得られた加工品(対象物という)に関してなされた行為には及ばない。但しこの行為が次に該当する場合はこの限りではない。
-
行為対象物の交付の際には種苗生産用とされていなかったのに、種苗の新たな生産を内容として含んでいる、又は、
-
その品種が属する種の品種を保護していない国への、その品種の繁殖を可能とする品種対象物の輸出を含んでいる。;但し輸出される対象物が栽培用とされている場合にはこれを適用しない。
10c条(品種保護の停止)
本法に従って付与された品種保護の所有者に対して、同一品種に対し共同体品種保護が付与された場合には、共同体品種保護の存続期間中は、本法に従って付与された品種保護から生ずる権利はその効力を有しえない。
11条(権利の承継、実施権)
(1)品種保護を求める権利、品種保護付与の請求権及び品種保護は、15条の要件を充足する自然人、法人、又は人的商事会社に対し譲渡され得る。
(2)品種保護は、全体的に又は部分的に、排他的又は非排他な実施権の対象とされ得る。
(3)実施権者が第(2)項による実施権の制限に違反した範囲では、その者に対しては品種保護が適用されうる。
12条(強制実施権)
(1)連邦品種庁は、品種保護所有者が全く又は不十分にしか実施権の付与をしていない場合には、申立に基づき、品種保護所有者のための経済的期待可能性を考慮した上で公共の利益のため必要ある限度で、その品種保護に関して10条に定める権限に関して相当な条件下に強制実施権を付与することができる。連邦品種庁は、強制実施権を付与する際には、その条件、殊に、品種保護所有者に支払われるべき報酬の額を定めるものとする。
(2)強制実施権付与一年経過後には、いずれの当事者も条件の改正決定を申立てることができる。この申立は、更に一年経過後毎にくり返されることができる;この申立は、その決定に対して基準となった状況がその間に著しく変化したという場合にのみ理由あるものとされうる。
(3)強制実施権付与及びその改定に関する決定の前には、連邦品種庁は、該当の経済団体中央機関を聴取しなければならない。
(4)強制実施権が、種子取引法に規定されている種の品種につき付与された場合には、品種保護所有者は、以下の点につき管轄官庁に対し情報請求をすることができる。
-
誰が保護品種の種苗につき種子の承認申請をしたか。
-
承認申請においてどのような広さの増殖面積が申告されたか。
-
その区分のために如何なる重量又は個数が申告されたか。
12a条(バイオテクノロジー発明の際の強制実施権)
(1)バイオテクノロジー発明(特許法1条第(2)項)の特許の所有者が、それよりも早期に付与された品種保護権を侵害することなくしてはその発明を実施することができない場合には、連邦品種庁は、第(3)項及び第(4)項の規定による申立に基づき、10条に定める権限に関してその品種保護につき、相当の条件を付して強制実施権を付与する。
(2)品種保護所有者は、相当な条件で、特許権者が自己に対して相互的な実施権を付与すべきことを要求することができる。
(3)特許所有者は以下の証明をしなければならない。
-
契約による実施権を得るために、品種保護所有者と交渉したが目的を達し得なかったこと。
-
その発明が、保護された植物品種と比べて顕著な経済的利益のある重要な技術的進歩性を示していること。
(4)連邦品種庁は、強制実施権の付与にあたっては、条件、殊に品種保護所有者に支払われるべき報酬の額を決定する。12条第(2)項及び第(4)項が準用される。
13条(品種保護の期間)
品種保護は、付与にひきつづく歴年の25年目の末まで、ホップ、じゃがいも、ぶどう及び樹木種では30年目の末まで、存続する。
14条(品種名称の使用)
(1)保護品種の種苗は、非営利目的の私的領域以外では、品種名称の使用を伴っている場合にのみ流通におくことができる;文字による記載の際には、それは識別しやすくかつ明瞭に読むことができるのでなければならない。この品種名称の使用が必要であるとする点は、品種保護が期間満了した場合にも同様である。
(2)品種名称と一致する表示についての権利によっては、その品種のための品種名称の使用は差止められない。先行の第三者の権利は妨げられない。
(3)保護された品種の、又は他の同盟メンバーによって育成者権が付与されている品種の品種名称、或いはその名称と混同のおそれある名称は、同一又は類縁の種の他の品種のために使用されてはならない。
15条(人的適用範囲)
(1)本法上の権利は次の者にのみ帰属する。
-
基本法第116条第(1)項の意味におけるドイツ国民、並びにドイツ国内に住所又は営業所を有する自然人、法人及び人的商事会社
-
他の締約国、又は同盟メンバーである国の国民、並びにそれらの国のいずれかに住所又は営業所を有する自然人、法人又は人的商事会社
及び -
その他の自然人、法人、人的商事会社であって、その者が帰属し又はその住所又は営業所を有している国においては、連邦食料農業省の連邦官報上の公告によれば、ドイツ国民又はドイツ国内に住所又は営業所を有する者に対して、同等の保護が与えられている場合。
(2)締約国内に住所も営業所も有しない者は、締約国内に住所又は事務所を有する代理人(手続代理人)を任命している場合には、本法に規定する手続に参加することのみ、又は、本法上の権利の主張をすることのみが可能である。
第2編
連邦品種庁
16条(地位と任務)
(1)連邦品種庁は、連邦食料農業省の職務範囲内にある独立の連邦上級官庁である。
(2)連邦品種庁は品種保護の付与とこれに関連した業務を管轄する。同庁は品種保護登録簿を管理し、また、保護品種の存続を再審査する。
17条(職員)
(1)連邦品種庁は、長官とその余の職員をもって構成する。職員は、品種そのものの分野における特別の専門知識(専門職職員)を、又は、ドイツ裁判官法による裁判官職のための資格(法的専門職員)を有していなければならない。これらの者は、連邦食料農業省によって、連邦品種庁でのその勤務の任期につき任命される。
(2)専門職職員としては、原則として、連邦品種庁における職務のために必要な自然科学履修課程を大学において終えた後に、国内の国家試験又は大学試験あるいは外国の同等と認められうる学問履修審査に合格し、更に、少なくとも3年間を当該専門分野で実務を行い、かつ必要な法的知識を有する者のみが任命される。
(3)時間的に限定されると予想される用務が生じた場合には、長官は、連邦品種庁の職員の業務に関して補助職員を委嘱することができる。委嘱は、その用務の定められた時間又は期間についてなされ得るが、その間は撤回不能である。その余の点については職員に関する規定が補助職員にも適用される。
18条(審査部及び不服審判委員会)
(1)連邦品種庁には次の部署がおかれる。
-
審査部
-
品種保護事案に関する不服審判委員会
長官はそれらの数を定め、職務の配分を定める。
(2)審査部は、次の事項に関する決定を管轄する。
-
品種保護出願
-
25条による異議申立
-
30条による品種名称の変更
-
(削除)
-
強制実施権の付与とその条件の決定
-
品種保護付与の撤回及び取消
(3)不服審判委員会は、審査部の諸決定に対する不服についての決定を管轄する。
19条(審査部の構成)
(1)審査部は、長官によって指名された連邦品種庁の専門職職員1名によって随時に構成される。
(2)18条第(2)項の2号、5号及び6号の場合には、3名の連邦品種庁の職員の配置によって構成される審査部が決定するが、その職員は長官が指定し、かつ、中の1名は法的専門職員であることを必須とする。
20条(不服審判委員会の構成)
(1)不服審判委員会は、長官又は長官によって選任された連邦品種庁の他の職員1名を委員長とし、長官が選任したその余の連邦品種庁職員2名を陪席とし、名誉職陪席2名をもって、適時に構成される。連邦品種庁の職員としては、2名の専門職職員と1名の法的専門職員とから成っているのでなければならない。
(2)名誉職陪席は、連邦食料農業省から6年間の任期つきで任命される;再任が許される。名誉職陪席が期限前に退任した場合には、その後任者は残りの在任期間について任命される。名誉職陪席は、品種そのものの分野について特別の専門知識を有している者でなければならない。品種育成企業の経営者又は従業者、或いは、育種家団体の従業者は任命されてはならない。各名誉職陪席については、代理人1名が選任される;代理人については、本項の第1文から第四文までが準用される。
(3)不服審判委員会は、中の1名は法的専門家であることが不可欠である、審判長と陪席1名及び名誉職陪席1名の出席によって議決することができる。
第3編
連邦品種庁における手続
21条(形式的行政手続)
審査部及び不服審判委員会での手続については形式的行政手続に関する行政手続法63条~69条、及び71条の規定が適用されるものとする。
22条(品種保護出願)
(1)出願人は品種保護出願の中で、当該品種の単数又は複数の、原始育成者又は発見者を申述しなければならず、自らの知る限りではその品種の育成又は発見にそれ以外の人は関与していないことを保証しなければならない。出願人が、原始育成者又は発見者でないか又は単独ではそうでない場合には、どのようにして自己にその品種が到達したかを申述しなければならない。連邦品種庁は、この申述を審査する義務を負わない。
(2)出願人は品種名称を申述しなければならない。品種保護付与の手続のために、出願人は連邦品種庁の承認を得て仮の名称を申述することができる。
23条(品種保護出願の時間的順位)
(1)品種保護出願の時間的順位は、それに疑義ある場合には連邦品種庁の到着記載簿への記入の順番によって定まる。
(2)出願人が、その品種について既に他の同盟国において育成者権の出願をしている場合には、最初の出願が適法に提出された後1年以内は、この出願の時間的順位が品種保護出願に対する時間的優先順位としてその者に帰属する。時間的優先順位は、品種保護出願においてのみ主張されうる。出願人がその出願日後3ヶ月以内に、連邦品種庁に対し、最初の出願につき管轄権を有する官庁によって認証のなされた最初の出願の資料の謄本を提出しない場合には、この時間的優先順位は消滅する。
(3)品種名称が、品種の種苗を含む物品に対する出願人の商標として特許庁の商標登録簿に登録されているか又は登録出願中である場合には、商標出願の時間的順位が品種名称のための時間的優先順位としてその者に帰属する。時間的優先順位は、出願人が品種名称の申述後3ヶ月以内に連邦品種庁に対し、商標の登録又は出願に関する特許庁の証明を提出しなかった場合には、消滅する。本項の第1文、第2文は、商標の国際的登録に関する1891年4月14日のマドリッド条約により、対応時点で効力を有する規定において国際登録され、かつ、国内で保護を受けている商標に対して準用される。
24条(品種保護出願の公告)
(1)連邦品種庁は、品種保護出願を、その申告に従った種、届出された品種名称又は仮の名称、出願日、並びに、出願人、原始育成者又は発見者と手続代理人についての氏名・住所を公告する。
(2)出願が、その公告後に撤回され、27条第(2)項に従って遅滞のため出願されなかったものとみなされ、又は、品種保護の付与が拒絶された場合には、連邦品種庁はこれを同様に公告する。
25条(異議申立)
(1)何人も連邦品種庁に対し品種保護の付与に対して、文書をもって異議の申立をなすことができる。
(2)異議申立は、次の旨を主張することによってのみ理由あるものとされる。
-
その品種が区別性、均一性、安定性、新規性を欠いていること
-
出願人が無権限者であること
又は、 -
品種名称が登録不能であること
(3)異議申立の期間は、各異議申立について次のとおりである。
-
第(2)項1号の場合 品種保護付与まで
-
第(2)項2号の場合 品種保護出願の公告後3ヶ月が経過するまで
-
第(2)項3号の場合 届出された品種名称の公告後3ヶ月が経過するまで
(4)異議申立は理由を示されなければならない。第(2)項による主張の正当性の理由づけのための事実と証拠は、個別的に述べられなければならない。これらの申述が、異議申立文書中に既に含まれているのでない場合には、異議申立期間の満了までにその追完がなされなければならない。
(5)第(2)項2号による異議申立の結果、品種保護出願の取下げ、又は、品種保護の付与の拒絶に至り、かつ、その異議申立人が、当該取り下げ後又は拒絶が法的に確定した後1ヶ月以内に同一品種について品種保護出願をした場合には、その異議申立人は、当該前出願の日を自己のための出願日とみなすことを要求することができる。
26条(審査)
(1)連邦品種庁は、当該品種が品種保護の付与のための要件を充足しているか否かの審査にあたっては、その品種を栽培し或いはその余の必要な調査を行う。過去の自らの審査結果を利用することができる場合には、上記調査を行わないことができる。
(2)連邦品種庁は、栽培その他の必要な調査を、外国の場合も含めて他の専門的適切な機関に実施してもらうことができ、そうした機関の栽培試験又はその他の調査の結果を参酌することができる。
(3)連邦品種庁は、出願人に対して、一定の期間内に、連邦品種庁又は連邦品種庁によって指定された機関に対して、必要な種苗その他の対象物及び必要なその余の資料を提出すること、必要な情報を与えること、及びそれらの審査を許容することを要求する。
(4)出願人が23条第(2)項による時間的優先順位を主張する場合には、出願人は、必要な種苗その他の対象物及び必要なその余の資料を、時間的優先順位期間の満了後4年以内に提出しなければならない。この提出の後には、出願人は、他の種苗及び他のその余の対象物を追加提出することは許されない。4年の期間経過前に最初の出願が撤回され、又は、育成者の権利の付与が拒絶された場合には、連邦品種庁は、出願人に対し、次の栽培期間用の種苗及びその他の対象物、並びにその余の資料を一定期間内に提出するように要求することができる。
(5)連邦品種庁は、審査結果に関する相互情報提供が必要である場合には、外国の官庁及び機関に対して審査結果に関する情報を供与することができる。
(6)連邦品種庁は、出願人に対し、一定の期間内に文書をもって次の事項をなすことを要求する。
-
出願人が仮の名称を届出ていた場合には、品種名称を届出ること
-
届出られていた品種名称が登録可能でない場合には、別の品種名称を届出ること
24条、25条が準用される。
27条(遅滞)
(1)出願人が、連邦品種庁がなした次の催告
-
必要な種苗その他の対象物又は必要なその余の資料を提出すること
-
品種名称を届出ること
又は -
期限到来済みの審査費用を納付すること
のいずれかにつき、自己に設定された期限内にその履行をしなかったときには、連邦品種庁がその期間設定の際に遅滞のこの効果を指摘していた場合には、品種保護出願を棄却することができる。
(2)出願人又は異議申立人が、品種保護出願又は異議申立に対する決定のための期限到来済み費用を納付しない場合には、連邦品種庁がその費用決定を公告し、かつ、その際に遅滞のこの効果についても指摘した後、1ヶ月以内にその費用の支払いがなされない場合には、出願はなされなかったものとみなされ、又は異議申立はなされなかったものとみなされる。
28条(品種保護登録簿)
(1)品種保護登録簿には、品種保護付与の確定後に、次の事項が登録される。
-
種及び品種名称
-
区別性にとって決定的な特性の確定された表現;一定の遺伝子構成の交配によってその植物体が産生される品種の場合には、更にこの点についての指摘
-
下記の者の氏名と住所
a)原始育成者又は発見者
b)品種保護所有者
c)手続代理人 -
品種保護の始期及び終期、並びに終了事由
-
排他的実施権及びその権利者の氏名と住所
-
強制実施権と定められている条件
(2)区別性にとって決定的な特性の確定された表現の登録と、強制実施権についての条件の登録とは、連邦品種庁の資料を指示することをもって代えられることができる。当該品種の品種明細書と他の品種の品種明細書の比較を可能とするために必要がある場合には、特性の数と性質並びにこれらの特性の確定された表現に関しては、職権によって登録を変更することができる。
(3)品種保護所有者又は手続代理人の人的変更は、それらが証明された場合にのみ登録される。登録された品種保護所有者又は手続代理人は、その変更の登録がなされるまでは、この法律に基づく権利及び義務を保有する。
(4)連邦品種庁は、登録を公告する。
29条(閲覧)
(1)下記のものは何人にも閲覧自由である。
-
品種保護登録簿
-
下記の資料
a)28条第(2)項第1文に規定の資料
b)公告された品種保護出願並びに付与された品種保護に関する資料 -
下記の栽培
a)品種審査のための栽培
b)品種の存続の再審査のための栽培
(2)一定の遺伝子構成の交配によってその植物体が産生される品種については、当該品種保護出願をなした本人の申請に基づいて、遺伝子構成についての申述は閲覧から除外される。この申請は、品種保護出願に関する決定がなされるに至るまでに限ってすることができる。
30条(品種名称の変更)
(1)品種保護付与の際に登録された品種名称は、次のいずれかの場合には変更されなければならない。
-
登録の際に7条第(2)項又は第(3)項による排除事由が存在しており、かつ、なお存続しているとき
-
7条第(2)項5号又は6号による排除事由が事後的に発生したとき
-
抵触的な権利が疎明され、かつ、品種保護所有者が、別の品種名称の登録に同意しているとき
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品種保護所有者に対して法的に確定した決定によってその品種名称の使用が差止められたとき
-
本来ならば14条第(1)項によって品種名称の使用義務を負っている者に対して、法的に確定した決定によって品種名称の使用が差止められ、かつ、品種保護所有者がその訴訟に補助参加人として関与していたか、又は、品種保護所有者に対してその訴訟が告知されていたとき。但し、品種保護所有者が、民事訴訟法68条後段に挙示されている事情のいずれかによって自己の権利の主張を妨げられていなかった場合に限る。
第1文第1号によって品種名称が変更された場合には、行政手続法48条第(3)項による財産的損失による補償請求をなすことはできない。
(2)連邦品種庁は、第(1)項による変更理由の存在を確認した場合には、品種保護所有者に対して、一定の期間内に別の品種名称を申告するよう要求する。その期間を徒過した後には、職権に基づき品種名称が指定される。品種保護所有者又は第三者の申立に基づき、連邦品種庁は、申立人が正当な利益を疎明した場合には品種名称を決定する。別の品種名称の決定とその公告については、24条、25条及び28条第(1)項第1号並びに第(4)項を準用する。
31条(品種保護の終了)
(1)品種保護は、品種保護所有者が連邦品種庁に対し文書をもってこれの放棄をなした場合には消滅する。
(2)品種保護の付与は、その品種が、品種保護付与の際に区別性又は新規性を欠いていたことが明らかになった場合には、遡及効を有する撤回がされなければならない。行政手続法48条第(3)項による財産的損失による補償請求権は認められない。その余の理由に基づく遡及効ある撤回は許されない。
(3)品種保護の付与は、その品種が、均一性を欠如し又は安定性を欠如したことが明らかになった場合には、遡及効のない取消がされなければならない。
(4) 更に、品種保護所有者が次のいずれかの事由に該当するに至った場合には、品種保護付与は、遡及効のない取消しに限って行われうる。
-
30条第(2)項による、別の品種名称の申告の要求に従わなかったこと
-
品種の存続に関する再審査についての、32条第1号による法規命令に基づく義務を、催告にも関わらず履行しなかったこと
又は -
期限到来の年費用を猶予期間内に納付しなかったこと
32条(手続規則制定の権限)
連邦食料農業省は、法規命令をもってする、次の権限を有する。
-
区別性にとって決定的な特性の選択、審査範囲の決定及び保護品種の存続性の再審査を含む、連邦品種庁に対する手続の詳細を規定すること
-
連邦品種庁の公告のための文書を指定すること
33条(手数料及び立替金)
(1)連邦品種庁は、本法に基づく自庁の個別的算定可能の公的行為及び外国官署又は超国家的官署の申立に基づく品種審査のための手数料及び立替金、更に、品種保護の期間(保護年限)の各開始年分の年間手数料を徴収する。
(2)連邦食料農業省は、連邦財務省及び連邦経済エネルギー省と協力して、法規命令によって、手数料義務発生の要件と手数料率を定め、その際には、確定額又は概括額を規定し、かつ、その手数料の発生とその徴収の時期を規定する権限を有する。個別的算定可能の公的行為の意義、経済的価値又はその余の効用は、育成物や社会公共性に対するものを含めて適切に顧慮されなければならない。償還されるべき立替金は、連邦手数料法とは別に規定され得る。
(3)連邦手数料法22条第4項に基づく連邦食料農業省の特別の手数料規則によって、その連邦行政の領域に対しては、手数料の発生と徴収の時期が連邦手数料法の規定と異なって定められることができる。
(4)品種審査のための手数料、並びに、品種保護出願に関する拒絶決定のための手数料については、行政費用法15条第2項の減額は2013年8月14日まで適用される規定においては認められない。
(5)不服申立が認容された場合には、不服申立手数料は償還されなければならない。特許裁判所での抗告、又は法律的抗告が認容された場合には、申立に基づき抗告手数料は償還されなければならない。一部認容の場合には、抗告手数料は、該当部分につき償還されなければならない。但し決定が、より早期に主張又は証明され得たであろう事実に依拠している場合には、償還は全部又は部分的に却下されうる。抗告手続中の立替金については、本項の第1文から第四文が準用される。行政手続法80条に基づく費用償還の請求権は生じない。
2021年10月1日から現行33条第(1)項から第(5)項に代って発効される規定(青字部分)
33条(手数料)
連邦手数料法22条第4項による連邦食料農業省の特別手数料規則によって、その連邦行政の領域に関しては、手数料成立及び徴収の時期は連邦手数料法の規定と異なって定められ得る。
(2021年10月1日施行の2016年7月18日改正法)
第4編
裁判所における手続
34条(抗告)
(1)不服審判委員会の決定に対しては、特許裁判所への抗告が行われる。
(2)抗告期間内に特許費用法に基づく抗告手数料が支払われなければならない;支払いがなされない場合には、抗告はなされなかったものとみなされる。
(3)30条第(2)項による品種名称の指定に対する抗告、及び、即時の執行が命じられている決定に対する抗告は、延期的効果を有しない。
(4)連邦品種庁長官は抗告手続に参加することができる。
(5)抗告に対しては、抗告部が決定する。抗告部は、18条第(2)項3号4号の事案においては、3名の法律専門職員の構成の下で、その余の場合には、1名の法律専門職員を裁判長として他に1名の法律専門職員と2名の技術専門職員の構成の下で決定を行う。
35条(法律的抗告)
(1)抗告部の決定に対しては、抗告部がその決定中に許可をしている場合には連邦最高裁判所に対して法律的抗告が行われる。
(2)34条第(3)項が準用される。
36条(特許法の適用)
34条及び35条に他の定めがない限り、特許裁判所における抗告手続及び連邦最高裁判所における法律的抗告手続、並びにこれらの手続における手続費用扶助に関しては、特許法の規定が準用される。
第5編
権利侵害
37条(差止請求権、損害賠償請求権、および補償金請求権)
(1)何人も、品種保護所有者の同意なしに
-
品種保護の及んでいる対象物につき、10条第(1)項に挙示されている行為のいずれかを行う、
又は、 -
保護されている品種の品種名称又はこれと混同するおそれある名称を、同一又は類縁の種の別の品種に用いる
場合には、被侵害者により、侵害除去の請求が、また、反復のおそれある際には差止請求がなされ得る。違反のおそれがある行為が初めて行われる際にも、この請求が認められる。
(2)故意又は過失をもって行為を行うものは、被害者に対しこれによって生じた損害の賠償の義務を負う。損害賠償額の算定にあたっては、侵害者が権利侵害によって取得した利益も考慮されうる。損害賠償請求権は、侵害者がその品種の実施につき許諾を得たとすれば相当な対価として支払わなければならなかったであろう額に基づいても算定することができる。
(3)品種保護所有者は、出願の公告と、品種保護の付与との間に、品種保護の及ぶ対象物に関して10条第(1)項に挙示されている行為のいずれかを行ったその者に対し、相当額の補償金を請求することができる。
(4)(削除)
37a条(廃棄及び回収の請求)
(1)37条第(1)項の場合には、被侵害者は侵害者に対し、侵害者の占有下又は所有下にある、侵害行為の客体である対象物の廃棄を請求することができる。本項第1文は、その対象物の製造のために主として用いられた、侵害者所有の装置について準用される。
(2)被侵害者は侵害者に対し、37条第(1)項の場合には、違法に製造され拡布された、又は違法な拡布用とされている、対象物の回収、又は、販売経路からのそれの最終的な除去を請求することができる。
(3)第(1)項及び第(2)項の請求は、個別的場合にその措置が不相当である場合には認められない。相当性の判断に際しては、第三者の正当な利益も考慮されるべきである。
37b条(情報供与請求権)
(1)被侵害者は、37条第(1)項の場合においては、侵害者に対し、権利を侵害している対象物の出所と販売経路に関し遅滞ない情報の供与を請求することができる。
(2)明らかな権利侵害の場合、又は、被侵害者が侵害者に対して訴を提起した場合には、第(1)項にかかわりなく、営業的規模で次の行為をなした者に対してもその請求をなすことができる。
-
権利侵害をしている対象物を自己の占有下においた者
-
権利侵害であるサービス行為の請求をなした者
-
権利侵害行為のために有益なサービス行為をなした者
又は -
1、2もしくは3号に挙示された人の指図に基づいて、そのような対象物の製作、生産、又は販売に協力した者
但し、もしもそれらの者が、侵害者に対する訴訟において民事訴訟法383条~385条によって証言拒否権を有するという場合には、この限りではない。上記第1文に基づく請求権の裁判上の行使の場合には、裁判所は申立に基づき、侵害者に対して係属している訴訟を、情報開示請求のために行われている法的紛争の終了に至るまで中止することができる。情報提供義務者は、情報提供に要する費用の賠償を被侵害者に求めることができる。
(3)情報供与義務者は、次の事項につき報告しなければならない。
-
その対象物の生産者、納入者及びその他の前占有者、又はサービス提供者、並びに、営業的購入者と販売者の、各々所定の名称及び所在地
及び -
製造され、引き渡され、保管され、発注された対象物の量、並びに、当該対象物又は当該サービス提供に対して支払われた対価額
(4)第(1)項及び第(2)項による請求は、その請求が個別事案において不相当な場合には排斥される。
(5)情報供与義務者が故意又は重過失により、情報を偽って又は不完全に提供した場合には、被侵害者に対して、これより生じた損害を賠償する責に任ずる。
(6)第(1)項又は第(2)項による真実提供義務を負っておらずに真実の情報を提供した者は、自己が情報提供につき義務がなかったことを認識していた場合には第三者に対してのみ責任を負う。
(7)明らかな権利侵害の場合には、情報供与の義務は民事訴訟法935条~945条による仮処分の手続の方法の方法で命じられ得る。
(8)情報の内容は、義務違反行為又は刑事訴訟法52条第(1)項に挙示された親族に対する、情報提供前に敢行された行為のための刑事手続又は行政上の秩序違反手続においては、義務者の同意ある場合にのみ用いられることが許される。
(9)情報が交信データ(電気通信法3条第30号)の使用によってのみ付与されうる場合には、その付与のためには、被侵害者によって申立てられるべき、交信データの使用の許可に関する事前の裁判所の指図が必要である。この指図の発令には、その管轄地域内に情報開示義務者がその住所、居所又は営業所を有する地の地方裁判所が、訴額に関係なく、専属的管轄権を有する。決定は民事部で行われる。その手続には、家族事案及び非訟事件の裁判権の手続に関する法律の規定が準用される。裁判所の指図の費用は被侵害者の負担とする。地方裁判所の決定に対しては抗告が可能である。抗告は2週間の期間内になされなければならない。個人情報保護に関する規定は、その余の点では変更がない。
(10)第(9)項と一体となった第(2)項が適用されることにより、電気通信の秘密に関する基本権(基本法10条)は制限される。
37c条(提示請求及び検査請求)
(1)37条第(1)項に定める権利侵害の十分な蓋然性あるときには、権利所有者又はその他の有権限者は、自己の請求の根拠のために必要である場合には、被疑侵害者に対して、その処分権内に存する記録文書の提示又は事物の検査の請求することができる。営業的規模で行われた権利侵害の場合には、この請求は、銀行、財務又は商取引の資料の提示にまでも及ぶ。被疑侵害者が機密情報が問題となっていると主張する場合には、裁判所は、個別場合に求められている保護を担保するために必要な措置を講ずるものとする。
(2)第(1)項の請求は、個別事案において不相当である場合には認められない。
(3)文書の提示又は事物の検査の受忍の義務は、民事訴訟法935条~945条による仮処分の方法で命じられることができる。裁判所は、機密情報の保護を担保するために必要な措置を講ずる。この措置は、仮処分が相手方の事前の審尋を行うことなく発令される場合に特に妥当する。
(4)民法811条並びに本法37b条第(8)項が準用される。
(5)侵害が存在せずまたはそのおそれもなかった場合には、被疑侵害者は、第(1)項による提示又は検査を要求した者に対して、その要求によって自己に生じた損害の賠償を求めることができる。
37d条(損害賠償請求権の保全)
(1)営業的規模で権利侵害が行われた37条第(2)項の場合であって、以下の提示なしには損害賠償請求権の実現が疑わしい場合には、被侵害者は、侵害者に対し、侵害者の処分権限内に存し、かつ、損害賠償請求権の実現のために必要である、銀行、財務、商取引の諸資料を提示すること、又は、それらの資料へ適切な接近を認めることをも請求することができる。侵害者が機密情報を内容としていると主張する場合には、裁判所は、具体的場合に妥当な保護を保証するために必要な措置を講ずるものとする。
(2)第(1)項第1文による請求は、個別事案につき請求が不相当な場合には棄却される。
(3)第(1)項に挙示された文書の提示義務は、損害賠償請求権が明らかに存在している場合には、民事訴訟法935条~945条による仮処分手続の方法によって命じられ得る。裁判所は、秘密情報の保護を担保するために必要な措置を講ずる。この措置は、殊に、相手方の事前の審尋がなされずに仮処分命令が発せられる事案において妥当する。
(4)民法811条並びに本法37b条第(8)項が準用される。
37e条(判決の公示)
本法に基づく訴が提起された場合には、勝訴当事者に対して、それが正当な利益を示しているときには、敗訴当事者の費用をもってその判決を公示すべき旨の権限が判決中で認められ得る。この公示の態様と範囲は判決中に定められる。上記権限は、その判決の既判力発生から3ヶ月以内に勝訴当事者によってこれが行使されなかった場合には消滅する。本項第1文に基づく言い渡し内容は仮執行されることはできない。
37f条(時効)
本法に基づき保護される権利の侵害によって生ずる請求権の時効については、民法第1巻第5編の規定が準用される。侵害による義務者が権利者の費用に基づいて何らかの利得を得た場合には、民法852条が準用される。
37g条(他法の規定に基づく請求権)
他法の規定に基づく請求権は変更されない。
38条(品種保護訴訟事件等)
(1)本法に規定されている法律関係のいずれか一から生ずる請求権が主張されている全ての訴え等(品種保護訴訟等)に対しては、訴額を顧慮することなく地方裁判所が排他的に管轄する。
(2)州政府は、そうすることが手続の事案の好解決と迅速な処理に資する場合には、法規規則をもって、品種保護訴訟等を、複数の地方裁判所の管轄につきその中の一に割りあてる権限を有する。州政府等はこの権限を州司法行政機関等に移譲することができる。各州は、更に、合意によって、ある州の複数裁判所の責務である仕事を、全体としてまたは部分的に、他の州の管轄裁判所に移転することができる。
(3)弁理士の参加によって生ずる費用については、弁護士報酬法13条に基づく手数料が、また弁理士の不可欠の立替金が、支弁されなければならない。
(4)第(1)項乃至第(3)項の規定は、共同体品種保護に関する1994年7月27日の理事会規則(EG)Nr.2100/94 (ABl.EG Nr.L 227 S.1)中でそれの対応時点における有効な規定において定められた法律関係の一から生ずる請求権が主張されている訴訟全てに対しても、適用される。
39条(刑罰法規)
(1)以下の者は3年以下の自由刑又は罰金刑に処する。
-
10条第(1)項に、更に第(2)項にも違反し、本法によって保護を受ける品種の種苗、植物体、植物体部分又は生産物を生産し、繁殖目的で調整し、流通におき、輸入し、輸出し、又は保管する者。
又は -
共同体品種保護に関する1994年7月27日の理事会規則 (EG) Nr.2100/94(ABl.EG Nr.L 227 S. 1)の、13条第(2)項第1文、更に第(4)項第1文又は第(5)項と一体となった13条第(1)項に共に違反して、共同体品種保護権をもって保護される品種の対象物を繁殖させ、繁殖の目的をもって調整し、売却の申出をし、流通におき、輸入し、輸出し又は保管する者。
(2)上記行為者が営業として行った場合には、5年以下の自由刑又は罰金刑に処する。
(3)未遂はこれを罰する。
(4)第(1)項の場合には、その行為は告訴に基づいてのみ訴追される。但し、訴追に関する特別の公益の故に訴追機関が職権による介入を必要と見做す場合はこの限りではない。
(5)犯罪行為に関係した対象物は没収され得る。刑法74a条が適用される。本法37a条に挙示された請求権が、被害者の補償に関する刑事訴訟法の規定(403条~406c条)による手続中で認容される場合には、没収(刑法典74条から74f条まで)に関する規定は適用されない。
(6)刑が言渡される場合に、被害者が申立て、かつ、それについて正当な利益が証明されるときには、要求に基づき有罪判決が公示されるべき旨が命じられるべきである。公示の方法は判決中に定められねばならない。
40条(過料の定め)
(1)故意又は過失により次の行為を行った者は秩序違反とする。
-
14条第(1)項に違反して、本法により保護される品種の種苗を、品種名称を全く付さないか又は法定された様式では付さないで流通におく行為。
-
14条第(3)項に違反して、本法によって保護されるある品種の品種名称、又はこれと混同可能性ある名称を、同一又は類縁の種に属する他の品種に対して用いる行為。
又は、 -
共同体品種保護に関する1994年7月27日の理事会規則(EG)Nr.2100/94(ABl.EG Nr.L 227 S.1)の17条第(1)項に、更に同条第(3)項と共に違反して、同規則に基づく共同体品種保護権によって保護される品種の名称を、全く用いないか、正確には用いないか、完全には用いないか、又は法の予定する態様では用いないかする行為。
(2)本条の秩序違反行為は5000ユーロ以下の過料に処せられうる。
(3)行政秩序違反行為に関係した物品は、没収することができる。秩序違反行為に関する法律23条が適用される。
(4)秩序違反行為に関する法律36条第(1)項第1号の意味における行政官庁は連邦品種庁とする。
40a条(税関の取扱に関する規定)
(1)国内における、又は、共同体品種保護に関する1994年7月27日の理事会規則(EG)Nr.2100/94(ABl.EG Nr.L 227 S.1)における、その時々に有効な規定において付与された品種保護の侵害の対象である物体は、知的財産権の税関による実施と理事会規則(EG)Nr.1383/2003の取消のための2013年6月12日のヨーロッパ議会と理事会の規則(EU)Nr.608/2013(2013年6月29日のABl.L 181 S.15)が、それらのその時々の有効な規定において適用されない場合には、輸入又は輸出の際の品種保護所有者の申立と保証金とによって、権利侵害が明白である範囲につき、関税官署によって差押えられる。他の締約国との間でなされる交易には、関税官署によって管理が行われる範囲でのみこれが適用される。
(2)関税官署が差押を命じた場合には、遅滞なく、処分権者及び申立人に知らせる。申立人に対しては、その対象物の出所、量、保管場所、並びに処分権者の氏名と住所を通知するものとする;その限りで、信書及び通信の秘密(基本法10条)は制限される。申立人に対しては、それによって営業秘密及び取引秘密が害されない範囲で、対象物を閲覧する機会が与えられる。
(3)差押に対し、遅くとも、第(2)項第1文による通知の送達がなされた後2週間までに異議申立されなかった場合には、関税官署は差押えられた対象物の没収を命ずる。
(4)処分権利者が差押に対する異議の申立をなした場合には、関税当局は遅滞なくこれを申立人に知らせる。申立人は、関税官署に対して遅滞なく、自己が第(1)項に従って被差押対象物に関してなした申立を維持するか否かを表明する。
-
申立人が申立を撤回した場合には、税関は遅滞なく差押を取り消す。
-
申立人が申立を維持し、かつ、被差押対象物の寄託又は処分権制限を命ずる、執行力ある裁判所の決定を提出した場合には、関税官署は必要な措置をとる。
上記1又は2のいずれの状態も存在しないときは、第1文による申立人に対する通知の送達2週間経過後に、関税官署は差押を取消すものとする;申立人が上記2の裁判所の裁判を申立てているが、未だ手許に入手していない旨の立証をなした場合には、差押は更に最長2週間維持されるものとする。
(5)差押が当初から不当であったと判明して、申立人が被差押対象物に関する第(1)項の申立を維持し、又は、遅滞なく事情説明(第(4)項第2文)をしなかった場合には、申立人は差押によって処分権利者に生じた損害を賠償する義務を負う。
(6)第(1)項に基づく申立は、総合関税本部宛てになされるものとし、有効期間1年以下とする旨が申立てられない限り、1年間に亘り効力を有する;申立は反覆されてもよい。その申立に関係する職務行為に関しては、公課法178条に従って申立人から費用徴収がなされる。
(7)差押と没収は、差押と没収に対する秩序違反に関する法律に従った罰金手続において許される法的手段によって取消されうる。法律上の手段手続では、申立人の聴取がなされなければならない。簡易裁判所の裁判に対しては即時抗告が許される;即時抗告に関しては上級州裁判所が決定する。
40b条(規則(EU)Nr.608/2013に基づく手続)
規則(EU)Nr.608/2013による手続に対しては、この規則中に反対の定めの規定が存しない限り、40a条第5項及び第6項が準用される。
第6編
最終規定
41条(経過規定)
(1)本法施行の際に次の品種保護が成立している品種については、以下に定めるところによる。
-
1968年5月20日の品種保護法(BGBl.I S.429)の1977年1月4日公告(BGBl.I S.105、286)の規定における52条第(1)項の規定と一体となった、連邦法律官報第Ⅲ部、分類7822-1において公に除去された、1966年12月23日の法(BGBl.I S.686)によって最終改正された規定における種子法に基づいて、なお存続している品種保護
-
1968年5月20日の品種保護法の適用時に効力を有する規定によって、付与され又は出願された品種保護
こうした品種保護の対象品種に対しては、上記1の場合には、その品種保護付与の際に種子法の2条第(2)項の要件が存在していなかったことが明らかになった場合には、品種保護の付与は本法31条第(2)項によって撤回されうるという条件つきで本法の規定が適用される。
(2)ある品種又は品種育成に対して、それらが該当する種に本法が適用される以前の時点で、特許が付与され又は特許出願されていた場合には、その出願人又はその権利承継者はその特許出願を、又、特許権の所有者は特許権を、維持し、或いは、その品種につき品種保護の付与の出願をすることができる。品種保護付与の出願がなされた場合には、その者に対しては、特許出願の時間的順位が品種保護出願の優先時と認められる;この場合には、本法23条第(2)項第3文が準用される。付与された品種保護の存続期間は、特許出願の提出時と品種保護出願日との間の完全暦年数だけ短縮される。品種保護の付与が法的に確定した場合には、その品種については、特許権又は特許出願から生ずる権利は以後認められない;係属していた特許付与手続は続行されない。
(3)ある品種につき共同体品種保護が付与され、かつ無効宣言又は取消しの理由が存在しない場合であるのに放棄により終了した場合には、放棄の意思表示の発効後3ヶ月以内に、本法による品種保護の付与の出願をなすことができる。この出願に対しては、共同体品種保護付与の出願の時間順位が、本法による品種保護出願に対する時間的優先順位として共同体品種保護の所有者又はその権利承継人に対して与えられる。この時間的優先順位は、出願人が上記の期間内に、共同体品種保護付与の出願文書、付与文書及びこれの放棄に関する文書を提出しなかった場合には消滅する。その品種について本法に基づく品種保護が付与された場合には、付与された品種保護の期間は、共同体品種保護の付与と本法による品種保護付与との間の完全暦年数だけ短縮される。
(4)本法がその品種に対応する種に適用され得るに至った時点の後1年以内に品種保護出願がなされた品種は、上述の時点以前4年以上早期に、ぶどうと樹木種では6年以上早期に、その品種の種苗又は収穫物が、権限を有する者又はその前主の同意の下に営利目的をもって流通におかれなかった場合には、新規であるとみなされる。上記第1文の適用の下に品種保護が付与された場合には、流通開始時と出願日との間の完全暦年数だけその存続期間が短縮される。
(5)出願日が、1997年7月17日法(BGBl.I S.1854)1条の発効後1年以上後ではない場合には、本法6条第(1)項の定めと異なり、その品種の植物体又は植物体部分が、権利者又はその前主の同意の下に出願日以前には営業目的で流通におかれなかったか、又は以下の期間内でのみそのような流通におかれた場合はその品種は未だ新規であるとみなされる:
-
国内において1年間
-
国外において4年間、ぶどう(Vitis L.)及び樹木種において6年間
(6) 10条第(1)項の規定は本質的に由来する品種で、1997年7月17日法(BGBl. I S.1854)1条の発効までに品種保護の出願又は付与がなされたものについては、適用されない。
(7)民法施行法第229条§6は、2002年1月1日まで施行されていた規定における37c条が、民法の2002年1月1日まで有効であった規定における時効についての規定と同等に扱われるという条件で準用される。
42条
(削除)
添付 Anlage
原文出典:BGBl. Ⅰ 1997、 3176
その種苗から継続育成されうる種:
1. 穀物
1.1 Avena sativa L.えん麦種
1.2 Hordeum vulgare L.sensu lato 大麦属
1.3 Secale cereale L.らい麦属
1.4 x Triticosecale Wittm.ライ小麦
1.5 Triticum aestivum L.emend.Fiori et Paol.小麦種
1.6 Triticum durum Desf.マカロニムギ
1.7 Triticum spelta L.スペルトコムギ
2. 飼料植物
2.1 Lupinus luteus L.ハウチワマメ属
2.2 Medicago sativa L.ウマゴヤシ属
2.3 Pisum sativum L. (partim) エンドウ種
2.4 Trifolium alexandrinum L.シロツメクサ属
2.5 Trifolium resupinatum L.シロツメクサ属 しろクローバー種
2.6 Vicia faba L. (partim) そらまめ種
2.7 Vicia sativa L.ヤハズエンドウ
3. 油・繊維植物
3.1 Brassica napus L (partim) ナタネ
3.2 Brassica rapa L.var.silvestris (Lam.) Briggs アブラナ
3.3 Linum usitatissimum L.亜麻
4. 馬鈴薯
4.1 Solanum tuberosum L. ジャガイモ