1991年UPOV条約 第11条

(1)[優先権の期間]何れかの締約国において正規に品種の保護の出願(以下「最初の出願」という。)をした育成者は,他の締約国の当局に対する当該品種の育成者権の付与のための出願(以下「その後の出願」という。)に関し,12月の期間,優先権を有する。この期間は,最初の出願の日から起算する。出願の日は当該期間に算入しない。

(2)[優先権の主張]育成者は,優先権の利益を受けるためには,その後の出願に際し最初の出願に基づく優先権を主張しなければならない。その後の出願がされた当局は,その育成者に対し,最初の出願がされた当局の認証する当該最初の出願に係る出願書類の謄本及び双方の出願の対象である品種が同一のものであることを証明する見本その他の証拠を,その後の出願がされた日から3月を下回らない期間内に提出するよう求めることができる。

(3)[書類及び試料]育成者は,その後の出願をした締約国の法令により第12条に定める審査のために必要とされている情報,書類又は試料の当該締約国の当局への提出を,優先期間の満了後2年の期間内に又は最初の出願が拒絶され若しくは取り下げられた場合はその拒絶若しくは取下の後適当な期間内に行うことを認められる。

(4)[優先期間内に生じた事由]その後の出願は,(1)に定める期間内に生じた事由(例えば,最初の出願に係る品種に関する他の出願,公表,利用等)を理由として拒絶されることはない。これらの事由は,第三者の如何なる権利も生じさせない。

1978年UPOV条約 第12条

(略)

その後の出願:新規性

最初の出願:締結国A

その後の出願:締結国B

品種は、[締結国Aにおける]育成者権の最初の出願日において、その種苗又は収穫物が、次に掲げるときより前に育成者により又はその同意を得て当該品種の利用を目的とした他の者への販売その他の譲渡がなされていない場合は、新規であるとする。

(ⅰ) [締結国B]の領域において、[締結国Aにおける]出願日から1年遡った日

(ⅱ) [締結国B]以外において、[締結国Aにおける]出願日から4年遡った日、ただし、樹木及びぶどうについては6年遡った日

7.優先権を次のとおり主張する。

(最初の出願)(締結国・地域)において、   という名称のもとでなされた(年月日)付の出願。

最初の出願についての出願書類の謄本(出願日を含む)は、優先権の証明*のために提出しなければならない。

*所定の期間(最低でも3カ月)内

最初の出願

出願日:2004年5月15日

締結国A 

締結国B 

第12条に定める審査のため、育成者は、優先期間の満了後2年の期間内に当局に対して必要な情報、書類または試料を提出することが認められる。

2007年5月15日

後続の出願

出願日:2005年

​(優先権主張あり)

UPOV条約における優先権についての注釈

UPOV/EXN/PRI/1

DATE: October 22, 2009

 

前文

1.本注釈は、UPOV条約における優先権についてのガイダンスを提供することを目的としている。条約締結国の義務は、UPOV条約の条文中に定められているものに限られ、注釈については、これに関係する締結国の関連法令と不一致のないように解釈されなければならない。

 

2.本注釈は、1991年UPOV条約第11条及び1978年UPOV条約第12条が定める優先権に関する特定の解釈について述べるものである。

 

セクションⅠ:関連条文

3.1991年条約第11条及び1978年条約第12条に定める仮保護の内容は以下のとおりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4.本注釈は、1991年UPOV条約第11条及び1978年UPOV条約第12条が定める優先権に関する特定の解釈について述べるものである。下記の注釈は、1991年UPOV条約第11条(1)及び1978年UPOV条約第12条(1)に関するものである。

 

第1項

 

(1)[優先権の期間]何れかの締約国において正規に品種の保護の出願(以下「最初の出願」という。)をした育成者は,他の締約国の当局に対する当該品種の育成者権の付与のための出願(以下「その後の出願」という。)に関し,12月の期間,優先権を有する。この期間は,最初の出願の日から起算する。出願の日は当該期間に算入しない。

 

5.UPOV条約は、他の締結国において同じ品種の保護のためになしたより早い出願を基礎として、12か月の優先権を認めている。その場合には、その後の出願は、最初の出願の出願日に出願されたものとみなされる。本注釈末尾に添付した別紙において、優先権についての異なる規定の仕方について述べている。

 

6.最初の出願の出願日とは、その締結国が定める法令に適合した有効な出願が受領された日である。

 

新規性と優先権

7.優先権は、新規性を喪失することなく当該品種の利用を目的とした他の者への販売その他の譲渡がなされうる(1991年UPOV条約第6条(1)(i)及び(ii))期間と関連するものであり、ある締結国(締結国Aという)における権限ある当局に対する最初の出願の出願日は、他の締結国(締結国Bという)におけるその後の出願の出願日であるものとみなされる。したがって、1991年UPOV条約第6条(1)は、下記のような影響がある。

 

 

 

 

 

 

 

区別性と優先権

8.区別性の要件の充足の観点からは、優先権は次のような影響がある。ある締結国(締結国Aという)における最初の出願日の後に、いずれかの締結国において他の品種に関して出願をなしたとしても、当該品種のその後の出願との関係で、それらの他の品種が一般に知られている品種の存在となるものではない。したがって、1991年UPOV条約第7条については次のような影響がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

9.多くの場合、優先権は、区別性との関連で何らかの異なる結果をもたらすものではない。なぜなら、最初の出願にかかる品種は、最初の出願日より後において締結国にて出願される他の品種との関連においては、その存在が一般に知られている品種とみなされるからである。

 

10.しかしながら、優先権は、ある締結国Aにおいて最初の出願に対して育成者権が付与されないか、あるいは品種登録簿に登録されなかったような場合(例えば最初の出願についての拒絶査定、出願の取り下げ)には、特定の結果をもたらすこととなる。そのような場合には、優先権が適切に主張された場合、最初の出願にかかる品種は、最初の出願の出願日から、その存在が一般に知られている品種とみなされる一方で、優先権がない場合には、最初の出願にかかる品種は、後続の出願の出願日において(ただし、その後続の出願に育成者権が付与されるか、適切に品種登録簿に登録された場合に限る)、その存在が一般に知られている品種とみなされるためである。

 

品種の名称と優先権

11.最初の出願の出願日において、ある名称が要求されている場合、その品種名称は、品種名称の要件(1991年条約の20条(2)及び(4)、1978年条約の13条(2)及び(4)を参照。)に関しては、「優先権」の一部とみなされる。したがって、同じ品種に関して後続の出願がなされ、同じ名称が要求されている場合には、後続の出願は、品種名称の要件との関連において、最初の出願の出願日において出願したものとみなされる(優先権と品種名称の登録に関する、文書番号UPOV/INF/12/2「品種名称についての注釈」4(b)及び(c)を参照。)。

 

第2項

 

(2)[優先権の主張]育成者は,優先権の利益を受けるためには,その後の出願に際し最初の出願に基づく優先権を主張しなければならない。その後の出願がされた当局は,その育成者に対し,最初の出願がされた当局の認証する当該最初の出願に係る出願書類の謄本及び双方の出願の対象である品種が同一のものであることを証明する見本その他の証拠を,その後の出願がされた日から3月を下回らない期間内に提出するよう求めることができる。

 

12.優先権による利益を受けるためには、育成者は、その後の出願に際して、最初の出願に基づく優先権を主張しなければならない。育成者が優先権を主張しなかった場合には、後続の出願は、その後続の出願の日に出願されたものとされる。

 

13.UPOV条約において、育成者には、最初の出願書類の謄本を提出するため、後続の出願がされた日から3カ月を下回らない期間が与えられるとされている。その3カ月を下回らない期間の長さは、各締結国の法令により定められることとなる。

 

14.育成権の出願書類のUPOVモデルフォーム(文書TGP/5「DUSテストの経験と協力 セクション2」http://www.upov.int/export/sites/upov/en/publications/tgp/documents/tgp5_section_2_2.pdf)の項目7において、育成者が優先権を主張するための下記項目を提供している。

 

 

 

 

 

第3項

 

(3) [書類及び試料]育成者は,その後の出願をした締約国の法令により第12条に定める審査のために必要とされている情報,書類又は試料の当該締約国の当局への提出を,優先期間の満了後2年の期間内に又は最初の出願が拒絶され若しくは取り下げられた場合はその拒絶若しくは取下の後適当な期間内に行うことを認められる。

 

優先期間の満了

 

15.育成者は、優先期間の満了後2年の期間内(すなわち、最初の出願日から2年と12カ月内)に、当局に対して、審査のために必要とされている情報、書類または試料を提出することが認められる。

 

最初の出願の拒絶または取り下げ

 

16.UPOV条約は、最初の出願が拒絶される又は取り下げられた場合、育成者は、その後の「適当な期間内」に、審査のために必要な情報、書類または試料を提出することが認められるとしている。「適当な期間」を定めるにあたって、当局は、育成者が情報、書類または試料を提出するにあたって必要とされる時間に影響があると考えられる諸要素を考慮することができる。したがって、法律により特定の期間を定める必要はない。

 

別紙

 

次の例は、優先権にかかわる異なる事例を説明するものである。

 

 

その後の出願:新規性

最初の出願:締結国A

その後の出願:締結国B

品種は、[締結国Aにおける]育成者権の最初の出願日において、その種苗又は収穫物が、次に掲げるときより前に育成者により又はその同意を得て当該品種の利用を目的とした他の者への販売その他の譲渡がなされていない場合は、新規であるとする。

(ⅰ) [締結国B]の領域において、[締結国Aにおける]出願日から1年遡った日

(ⅱ) [締結国B]以外において、[締結国Aにおける]出願日から4年遡った日、ただし、樹木及びぶどうについては6年遡った日

その後の出願:区別性

最初の出願:締結国A

その後の出願:締結国B

品種は,[締結国Aにおける]出願時にその存在が一般に知られているすべての他の品種と明確に区別される場合は,区別性があるものとする。他の品種に関し,特に,何れかの国において育成者権の付与のため又は公認品種表への記載のための出願がされ,かつ,その出願の結果育成者権の付与又は公認品種表への記載が行われる場合は,当該他の品種は,その出願日から一般に知られているものとする。

締結国A 

最初の出願

出願日:2004年5月15日

UPOV締結国A

UPOV締結国B

UPOV締結国D

UPOV締結国C

最初の出願

出願日:2004年5月14日

後続の出願

出願日:2005年2月13日

(優先権主張あり)

優先権は認められる(Bにおける出願日が優先権の期間内であり、出願に際して優先権主張がなされている)。

 

締結国Bにおける出願は、締結国Aにおける最初の出願日すなわち2004年5月14日に出願されたものをみなさされる。

後続の出願

出願日:2005年5月10日

(優先権主張なし)

優先権なし(Cにおける出願日が優先権の期間内であるが、出願に際して優先権主張なし)。

 

締結国Cにおける出願は、2005年5月10日となる。

後続の出願

出願日:2005年6月10日

(優先権主張あり)

優先権なし(Dにおける出願日が優先権の期間を超えている)。

 

締結国Cにおける出願は、2005年6月10日となる。

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