UPOV条約における「品種」の定義についての注釈

UPOV//EXN/VAR/1

DATE: October 21, 2010

 

前文

1.本注釈は、1991年UPOV条約における「品種」の定義についてガイダンスを提供することを目的としている。条約締結国の義務は、UPOV条約の条文中に定められているものに限られ、注釈については、これに関係する締結国の関連法令と不一致のないように解釈されなければならない。

 

(a)1991年UPOV条約の関連条文

2.1991年UPOV条約の第1条(vi)に定める「品種」の定義は以下のとおりである。

 

(b)品種の定義についての解釈

3.下記は品種の解釈についての一定の指針である。

(i)「既に知られている最下位の植物額上の一の分類群に属する植物の集合」について

4.1991年UPOV条約における「品種」の定義は、「既に知られている最下位の植物額上の一の分類群に属する植物の集合」という言葉で始まっており、そのことは、例えば品種は複数の種の植物を含むことはないということを確認している。

 

5.また、品種は「植物の集合」であるという定義部分からは、下記がいずれも品種に該当しないことがわかる。

・一つの植物(ただし、実際に存在する品種は、一つの植物またはその部分によって示されることはある。ただし。そのような一つの植物または部分は品種を繁殖させるために使用できるものでなければならない。)

・形質(例えば、耐病性、花の色など)

・化学物質あるいは他の物質(例えば、オイル、DNA)

・品種改良技術

 

(ii)「品種の定義としては、その品種に対する育成者件付与のための要件がすべて充足されているか否かは無関係である」という点について

6.1991年UPOV条約第1条(6)による「品種」の定義においては、既に知られている最下位の植物額上の一の分類群に属する植物の集合とされているのであって、それは、その品種に対する育成者件付与のための要件がすべて充足されているか否かは無関係である。したがって、「品種」の定義は、「保護される品種」よりも広い。

 

7.品種」の定義は、区別性の判断において重要な役割を果たす。1991年UPOV条約第7条において、「品種は、出願時にその存在が一般に知られているすべての他の品種と明確に区別される場合には、区別性があるものとする。」とある。「育成者件付与のための要件がすべて充足されているか否かは無関係である。」という文言は、品種保護の対象となっていない公知品種(出願の対象となっている品種が明確に区別されなければならないもの)であっても、第1条(6)が定める品種の定義に該当することがあることを示している。公知品種についてのガイダンスは、「区別性、均一性、安定性の試験及び新品種の統一的描写整備のための一般概論」(TG/1/3 General Introduction)及び「品種集合体の形成と維持(Constitution and Maintenance of Variety Collections)」(TG/4/1)に示されている。

 

8.一般的に言って、締結国の権限のある当局は、出願の対象となっている品種が、1991年UPOV条約第1条(6)に定める品種の定義に該当するかどうかを審査することはない。当局は、出願の対象となっている品種が育成者件付与の要件を満たしているか、すなわち出願品種は区別性があり、均一で安定性があるか(DUSテスト)を審査することが要求されているのである。DUS基準を充足する品種は品種の定義に合致することになる。したがって、一般的に、出願が拒絶された場合には、出願品種がそもそも「品種」の定義に該当しないことを指摘することはないのである。

 

(iii)「遺伝子型あるいその組み合わせによって生じる特性によって特定すること」について

9. 「遺伝子型の組み合わせ」とは、例えば合成品種や交配種があげられる。

 

  1. 「変化なく増殖させることが可能であるという点で一の単位とみなすことができるもの」について

10.UPOV条約は、品種が「変化なく増殖させる」ための手段を限定しているものではない。例えば、栄養生殖、自家受粉、あるいは他家受粉によって増殖するいくつかの品種については、品種は、その品種自身の植物体から変化なく増殖する。他の品種、例えば交配種や合成品種については、品種はその品種以外の植物を含む増殖の環によって、変化なく増殖することができる。そのような増殖の環には、単純に2つの親系列(単純な交配など)によるものもあれば、もっと複雑な増殖の環(3方向の交配や、合成品種など)によるものもある。品種の増殖手段のいくつかの例は、「テストガイダンスの整備(Development of Test Guidelines)」という文書(TGP/7)の別紙3「ガイダンスの注記(Guidance Notes)」のうち、GN31である「品種の増殖手段についての情報(Information on method of propagating the variety)」と、GN32である「交配品種の増殖手段についての情報(Information on method of propagation of hybrid varieties)」を参照されたい。

第1条 定義

(vi)「品種」とは、既に知られている最下位の植物学上の一つの分類群に属する植物の集合であって、遺伝子型又はその組合せによって生ずる特性によって特定することができ、これらの特性のうち一以上の特性により他のすべての植物の集合と区別することができ、かつ、変化なく増殖させることが可能であるという点で一の単位とみなすことができるもの(育成者権の付与のための条件をすべて満たしているかどうかを問わない)をいう。

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