UPOV条約における「育成者」の定義についての注釈

UPOV//EXN/BRD/1

DATE: October 24, 2013

 

前文

1.本注釈は、1991年UPOV条約における「育成者」の定義についてガイダンスを提供することを目的としている。条約締結国の義務は、UPOV条約の条文中に定められているものに限られ、注釈については、これに関係する締結国の関連法令と不一致のないように解釈されなければならない。

 

(a)1991年UPOV条約の関連条文

2.1991年UPOV条約の第1条(iv)に定める「育成者」の定義は以下のとおりである。

 

 

(b)育成者権の付与

3.育成者権は、1991年UPOV条約の第1条(iv)に定める育成者に対してのみ付与することができる。そして1991年UPOV条約は、その第21条(1)(iii)において、次のとおり定めている。

「締結国は、次のことが判明した場合には、その与えた育成者権を無効であると宣言する。(中略)(iii)育成者権がこれを有すべきでない者に与えられていること。ただし、当該育成者権がこれを有すべき者に移転される場合は、この限りではない。」

 

(c)「者」

4.1991年UPOV条約の第1条(iv)にいう「者」とは、自然人及び法人の双方を含む。また、「者」とは単数及び複数のどちらでもよい。本書において、法人とは、締結国の法令に基づき権利義務の主体となることができる団体を意味する。

 

(d)育成者の定義についての要素

5.育成者の定義については、以下のとおり考慮すべき3つの要素がある。

 

(ⅰ)品種を育成し又は品種を発見しかつ発展させた者

6.1991年UPOV条約の第1条(iv)の最初のインデントによれば、育成者とは、「品種を育成し又は品種を発見しかつ発展させた者」を含むとされている。

 

7.1991年UPOV条約により育成者になりうる者についての制限はない。例えば、育成者になりうる者として、アマチュア園芸家、農家、科学者、植物育成機関、植物育成を業とする企業などが考えられる。

 

8.1991年UPOV条約は、新品種が育成される方法や技術について、何らかの制限を設けているものでもない。

 

9.「発見しかつ発展させた」については、発見には新しい品種を育成するプロセスの最初のステップが該当しうる。しかしながら、「発見しかつ発展させた」は、単なる発見によっては育成者権が付与されないことを意味している。植物体を品種へ発展させることは育成者権の付与を受けるために不可欠である。既に存在している品種を発見し、それを変えることなく繁殖させたとしても保護を受けることはないのである。

 

10.「発見しかつ発展させた」という点の解釈を含む、「育成者権」の概念については、さらに『UPOV条約に基づく植物品種保護システムにおける「育成者」及び「一般に知られている」の概念について』(C(Extr.)/19/2 Rev.の附属書類)を参照されたい。

 

(ⅱ)「使用者」

11.1991年UPOV条約の第1条(iv)の2つ目のインデントによれば、締結国の法令に定めがある場合には、品種を育成し又は品種を発見しかつ発展させた者が従業員である場合には、その使用者が、また、そのような者に作業を委託した者が、育成者になるとされている。

 

(ⅲ)「これらの者の承継人」

12.1991年UPOV条約の第1条(iv)の3つ目のインデントによれば、育成者は、品種を育成し又は品種を発見しかつ発展させた者の承継人、締結国の法令に定めがある場合における、品種を育成し又は品種を発見しかつ発展させた者が従業員である場合の使用者の承継人、そのような者に作業を委託した者の承継人とされている。例えば、締結国の法令に定めがある場合には、法令により、遺言、贈与、売買、交換によって承継人になりうる者がこれに該当する。

1991年UPOV条約第1条 定義

(iv)「育成者」とは、次の者をいう。

- 品種を育成し又は品種を発見しかつ発展させた者

- 締結国の法令に定めがある場合には、上記の者の使用者又は上記の者にその作業を委託した者

- これらの者の承継人

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