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§97 植物品種保護

■ 範囲

§97.1 一般                                     

 保護の権利証は,植物品種保護庁によって,有性生殖又は塊茎繁殖の,新規で区別性があり均一で安定的な品種に対し発行される。植物品種保護の権利証は,育成者が,本法の規定するところにより,保護期間中,他人がその品種を販売し,販売のための申出をし,再生産し,輸入し又は輸出し,調整し,貯蔵し,それを用いて交配種や異なる品種を生産することを,妨げる権利を有することを証明するものである。

 

■ 定義

§97.2 用語の意味

本施行規則において単数形式で用いられた語は,事案の求めにより複数を意味するであろうし,逆もしかりである。本法に含まれる用語の定義は,本施行規則において用いた語にも適用する。以下の語は,本施行規則を通じ,文脈がその他の意味を求めていない限り,次のとおり解釈される。

放棄された出願 植物品種保護庁により許された期間内に手続が完遂されなかった出願又は自発的に放棄された出願。

本法 植物品種保護法(7U.S.C.2321以下)。

管理官 合衆国農務省の農業市場サービス部門の管理官又はその者に代わり行動するものとして従来から委任されているかあるいは向後委任されるであろう農務省のその他の公務員又は被用者。

出願人 植物品種保護の権利証を求めて出願した者。

出願 本法の下での植物品種保護の出願。

譲受人 保有者がその権利の全部又は一部を譲渡する相手方。

委員会 長官により指名された植物品種保護委員会。

権利証 本法のもと植物品種保護庁により発行される植物品種保護権利証。

認証種子 遺伝的純粋性と品種の同一性の基準に適合していると公の種子認証機関により判断された種子。その基準は長官によって承認されている。

局長 庁における主席審査官。

決定と命令 長官の事実認定,事実と法についての全ての重要な争点に関する判断及びそれらの理由,並びに命令を含む。

審査官 植物品種保護庁の職員であって,権利証が発行されるにふさわしいかどうかを判断する。この語は,すべての事案において局長を含む。

外国出願 外国における植物品種保護の出願

審問書記官 ワシントンDC所在の合衆国農務省審問書記官。

審問官 合衆国農務省の行政法審判官,農務省のその他の公務員又は被用者であって,本施行規則に従って開催された審問の統括を正式に担当する。

庁又は植物品種保護庁 合衆国農務省の農業市場サービス部門,科学と技術計画局(Science and Technology Program),植物品種保護庁。

公報 「植物品種保護庁の公報」

保有者 本法の下で植物品種保護が与えられるであろう品種を開発し,又は発見して開発した者。あるいは,そのような品種についての権利を譲渡され又は移転を受けた者。

人(者) 個人,合名会社,株式会社,協会,政府の機関又は他の営利ないしは政府の団体。

長官 合衆国農務省長官又は同人の代わりに行動するものとして従来から委任されているかあるいは向後委任されるであろう公務員又は被用者。

種子認証機関 連邦種子法(53 Stat.1275)で定められているとおりに定義される。

種子目的外販売 保有者による栽培者又はその他の者に対する種子の所有権の譲渡及び占有の移転であって,保有者のための再生産や試験又は実験的利用の目的であり,種子又は植付用に再生産された種子を商業的に販売する目的ではないもの。

 

■ 管理運営

§97.3 植物品種保護委員会

(a) 植物品種保護委員会は,2年任期で指名された14名の構成員からなる。委員会は,2年毎に指名され,品種開発の様々な分野における専門家であるところの個人で構成される。委員会の委員は,農業者の代表を含み,私的ないし種子産業部門から,そして政府ないし公的な部門から略等しく選出される。どの委員も,当該委員又はその使用者が直接的な経済的利害を有している本法44条に基づく主張ないし問題に関するあらゆる事項について行動するにつき不適格である。

(b) 委員会の機能は,以下のとおりである。

(1) 本法の適切な執行を容易にするために,施行規則を採用するにつき長官に助言すること。

(2) 審査官又は局長からのすべての求意見に対して勧告決定をすること。

(3) 長官が,公共の利益のための利用に供するべく,保護された品種を開放するとの宣言をするにつき勧告をすること。

(4) 本規則の下で,その他の事項について,長官に勧告すること。

(c) 委員会の手続は,連邦諮問委員会法,合衆国農務省の行政規則(7 CFR Part25)及び委員会の構成員により採用される付加的運用手続に従って行われる。

 

■ 出願

§97.5 一般的要件

(a) 本法による保護は,以下の要件に適合する場合にのみ与えられる。

(1) 合衆国の国民と居住者は,本法下のすべての保護を受ける資格がある。

(2) UPOVの加盟国の国民と居住者(UPOV加盟の政府間組織の構成員である国を含む。)は,本法の下で合衆国の国民と同様の保護を受ける資格がある。

(3) 本条(a)項(1)又は(2)の下で保護を受ける資格のない者,及びUPOVの加盟国ではない外国の国民は,本法に基づく保護を求める出願がなされる時点で有効な当該外国の法律の下で,同一の属と種について,合衆国国民に対し当該外国から与えられる保護と同程度に限り,本法の下で保護を受ける。ただし,合衆国が当事者となる条約の違反とならないように,本法の下でさらなる保護が与えられるべきである場合を除く。

(b) 権利証を得るための出願は,植物品種保護庁に対しなされるべきである。出願は,以下から構成される。

(1) 完成した出願書類。但し,品種の種子が認証種子のクラスとしてだけ,その品種名により販売されるべきことを明記する欄は,出願の時点では記入する必要がない。

(2) 出願書類において明記されたとおりの証拠書類一式。ただし,審査官が,当該出願に関して提出された他の主張と証拠に基づき不必要であるとして,一定の証拠の提出を猶予した場合を除く。

(3) 言語と読みやすさ。

(ⅰ) 出願書類と証拠書類は英語でなければならず,読みやすく書かれるか,タイプされるか又は印刷されなければならない。

(ⅱ) 行間への書き込み,抹消,取消又はその他の変更は,出願書類に署名する前に消せないインクでなされねばならず,そして,署名のときにかかる事実を認識していたことを示すために,出願人よりはっきりとイニシャルを記載され,日付を付されなければならない。

(4) 本法の下で与えられる保護の相互主義の範囲を決するため,本条(a)項(3)の規定の下で合衆国における植物品種保護のための出願書類を提出する者は,必要に応じて,その者が国民である国の現行の植物品種保護法と規則の写し並びにそれらの正確な英訳文を,植物品種保護庁に提出しなければならない。

(c) 出願書類と証拠書類の様式は,局長によって発行される。(様式の写しは,植物品種保護庁,National Agricultural Library,Room401,10301 Baltimore Avenue,Beltsville,MD20705-2351から取得できる。)

(d) 宣誓供述書又はその他の陳述書が,その時点において有効な施行規則に従って提出され,出願人又はその代理人による署名がある場合,かかる署名は,出願人による保証となる。かかる署名は,手続きの経過で提出された宣誓供述書又はそのほかの宣言が依拠するすべての情報は知りうる限り正確であり,誤導となる虚偽の主張がなされていないことを保証するものである。

 

§97.6 権利証の出願

(a) 植物品種保護登録のための出願は,出願人自身により又は出願人を代理して署名されなければならない。

(b) 出願書類には,全てのファーストネームと,もしある場合にはミドルイニシャル又はミドルネームを含むところのフルネームと,その署名をした者の資格を記載しなければならない。

(c) 出願書類を提出する費用及び調査,審査のための費用は,§97.175から§97.178の規定に従い出願書類とともに提出されなければならない。

(d) 出願人は出願書類とともに以下の宣誓書のいずれかを提出するものとする。

 (1) 当該品種を再生産するために必要とされる3000粒以上の生育可能な基本種子が,局長から認可された公的保管所に保管され,権利保護期間中維持されるとの宣誓書,又は,

 (2) 塊茎繁殖品種のための出願については,生育できる細胞栽培種が,局長から認可された公的保管所に保管され,保護期間中維持されるとの宣誓書,又は,

 (3) 自家不和合性の両親からの交配種のための出願については,局長から認可された公的保管所において各親について生育可能な素材の採種園が設置され,保護期間中維持されるとの宣誓書。

 

§97.7 証明見本の寄託

(a) 証明見本

7U.S.C.2321以下のもとで,植物品種保護申請を目的とする証明見本素材の寄託について,「証明見本」との語は,直接的ないし間接的に自己複製が可能であるところの素材を含むものとする。代表的な例は,種子,植物組織細胞,細胞株,交配種において自家不和合性の両親の系統についての生育可能な素材の採種園を含む。種子の見本は,化学薬品又はコーティングで処理されてはならない。

(b) 寄託の必要性

植物品種保護の出願は,その品種の証明見本の寄託を要する。寄託は本施行規則に従っているものである限り,受け付けられる。包装見本は,保管所の包装と寄託の要求事項に適合するものであること。見本と見本についての通信文は,最低限以下により特定される。

(1) 植物品種保護庁により付された出願番号

(2) 作物の類,属と種及び品種の名称

(3) 寄託者の氏名と住所

(c) 受け付けられる寄託  

寄託は,以下の保管所になされた場合には,本施行規則の目的に適うものと認められる。

(1) 国立遺伝子資源保存センター(USDA,ARS,1111 South, Mason Street,Fort.Collins.CO80521-4500)又は,

(2) 植物品種保護庁から適切であると認められたその他の保管所。保管所の適切性は,行政的及び技術的な適性と,品種保護目的の寄託に適用される条件に従う旨の寄託合意に基づき,局長が判断する。局長は,保管所の適切性について,公平なコンサルタントに助言を求めることができる。保管所は,以下の各事項を充足しなければならない。

(ⅰ) 継続的に存在していること

(ⅱ) 寄託者の支配から独立して存在すること

(ⅲ) 寄託物の活性と量を調査し,活性と汚染されない状態が保たれていることを保証する方法でその寄託物を保管するために十分な人員と施設を有すること

(ⅳ) 寄託された生物学上の素材を失う危険性を最小化するために十分な安全策を用意していること

(ⅴ) 公平かつ客観的であること

(ⅵ) 出願の審査期間中及び保護期間中見本を分散させることを控えること。しかし,植物品種保護庁により保管所へその見本の支配が移された後は,急速かつ適切な方法で寄託された材料を供給すること

(ⅶ) 植物品種保護庁からの要請がある時は,見本を破壊しあるいは見本を植物品種保護庁に返還する能力を持つこと

(ⅷ) 見本の活性が低いこと又は量が少ないことを,植物品種保護庁に速やかに知らせること

(3) 本条(c)項(2)の下で権限を認められようとする保管所は,以下の内容を含む通信文を局長に送付しなければならない。

(ⅰ) 当該通信文が関係する保管所の名と住所を表示すること

(ⅱ) その法的立場,科学的立場,人員及び研究所についての情報を含むところの,本条(c)項(2)の要求を充足する当該保管所の能力に関する詳細な情報を包含していること

(ⅲ)  当該保管所が同一条件のもとでいかなる寄託者に対しても寄託の目的のために利用可能であろうとしていることを示していること

(ⅳ) 生物学的な素材のうちある種だけを寄託のために受け入れようとしている場合には,かかる種を特定していること,そして

(ⅴ) 本条(c)項(2)の下で適切な寄託所の権限を獲得したときに,保管所が貯蔵,活性についての宣言及び寄託の見本の供給のために請求する費用の額を明示すること。

(4) 生物学的な素材のある種に限り本条(c)項(2)の下で権限を有している保管所は,本条の(c)項(3)に従った局長に対する連絡により追加的な種類の生物学的な素材にまでこのような権限を広げることができる。もし,本条(c)項(3)の下で,以前になされた連絡が記録されている場合には,同連絡と共通する項目は参照により編入することができる。

(5) 本条の下で寄託が局長により適切であると認められるか,又は不履行ないしその活動を停止した場合には,植物品種保護庁の公報で発表され,又は,植物品種保護庁の手続に関する情報の普及のために典型的に用いられるその他の方式により公表される。

(d) 最初の寄託をするとき

種子再生産植物のための材料の最初の寄託は,出願の日から3カ月以内又は権利証が発行されるまでのいずれか早い方の期間に行われるものとする。証明見本の輸入のための農植物防疫証明を取得するについての遅延のような合理的な理由で任意免除が認められる。最初の寄託がされる場合,出願人は直ちに事実を確証する地位にある者からの陳述書を提出しなければならない。その陳述は,寄託された証明見本は,出願書類の中で特定されたまさにその品種であることを述べるものである。かかる陳述は,出願書類中に編綴されねばならず,本条(b)項中に挙げられているものと以下の情報を含まねばならない。

(1) 保管所の名と住所

(2) 寄託の日付

(3) 保管所から与えられた受け入れ番号

(4) 寄託物は再生産可能であるとの陳述

(e) 寄託物の交換又は補充

寄託物を保管する保管所が,見本の活性が低いかあるいは見本の量が少ないと判断し,かつ,出願手続中又は登録の保護期間中にこの判断がなされた場合には,植物品種保護庁は寄託物の交換又は補充をする必要について寄託者に通知する。このような寄託は,本条の(d)項に規定されたところに従った最初の寄託をすることの必要性について規律するのと同じ考慮をもって規律せられる。植物品種保護庁に対する見本の交換又は補充に関する通知は,事実を確証する地位にある者による,交換又は補充された寄託物がもとの寄託物と同一の生物学上の素材である旨の宣言を含むものでなければならない。

(f) 寄託期間

植物品種保護の出願のためになされた証明見本の保管は,少なくとも20年間なされなければならない。いかなる事案であっても,当該寄託の目的である権利保護証が有効な期間内は,植物品種保護庁がそれらを入手できるようにするとの合意のもとに,見本は保管されねばならない。

(g) 寄託物の生育可能性  

直接的であれ,間接的であれ,自己再生が可能であるところの生物学上の素材の寄託物は,寄託時及び寄託期間中生育可能なものであらねばならない。生育可能であることは保管所により定期的に試験されるであろう。その試験は,寄託された物が再生可能であることのみを結論づけなければならない。寄託物が出願書類に記載された機能を果たしうることについてはいかなる証拠の必要性も認められない。もし,生育可能性の試験が,受領時に寄託物が活性でなく,又はその素材の量が不十分であることを示すならば,審査官は,寄託がなされなかったと同様に扱う。審査官は,本条(c)項の下で認められた保管所により発せられた活性についての陳述中で,明らかにされた結論を受け入れる。

(h) 見本の供給

寄託は以下のことを保証するとの条件でなされねばならない。

(1) 寄託物に対する公衆の接近は,出願の継続中ないしは保護期間中できない。

(2) 寄託物の公衆に対する利用可能性についての全ての制約は,登録の放棄,取消,期間満了又は撤回により取消不能なものとして取り除かれる。

(i) 審査手順 

審査官は権利証の発行に先立ち,各出願において,現になされた証明見本の寄託が植物品種保護目的のものとして受け入れられるものであるかどうかを判断する。

 

§97.8 見本の要件

(a) 出願における陳述書が正しいと確かめるために必要であるときは,出願人は,審査官の求めに応じて,品種の代表的な見本又は,その花,果実又は種子を一定量かつ生育の特定の段階の状態で供給することを求められる。かかる見本は,審査官によってなされた指示に従って包装され発送されなければならない。出願人が審査官に対し最終判断がなされる前に圃場において植物の調査をすることを求める場合には,出願人によって,旅費,日当,手当,給与を含む全ての費用を植物品種保護庁に補填するのに十分な金額の支払いをもって,調査費用が与えられなければならない。

(b) 出願を証拠づけるために提出された植物見本は,植物品種保護庁の職員によるか,又は,長官から権限を与えられたその他の者による以外は,同庁から移動されることはない。

(c) 植物品種保護庁に提出された植物見本は,以下に規定する場合を除き,申立てにより,見本が意図された目的を達した後,出願人の費用で出願人に返還される。局長は,正当な理由を以って,特定の見本は,期限の定めなく庁に保持されることを要求することがある。返還されないか又は上記のとおり保持されない見本は破棄されなければならない。

 

§97.9 図と写真

(a) 出願書類に添付の図と写真は,品種の顕著な特質を開示するものでなければならない。

(b) 図と写真は,色彩がその品種の顕著な特質であるときはカラーとし,色彩は,ニッカーソンのチャ-トないしはその他の認められたカラーチャートを用いて記述されなければならない。

(c) 図は,局長の定める指示に従い,平坦もしくは適切な筒状の郵便で送られる。

(d) 出願書類に添付の図と写真は,出願一件記録の一部として,植物品種保護庁により編綴される。

 

§97.10 共に編綴されるべき出願の部分

証拠を含む出願の全ての部分は,共に植物品種保護庁に提出されるべきであり,さもないときは,それぞれの部分は,正確にかつ明瞭に出願書類に引用されなければならない。

 

§97.11 受付時における出願の受理と編綴

(a) 最初の提出時に出願書類が実質的に完全であれば,審査を待つため受理され記録に編綴される。

(b) 出願書類の何れかの個所が,不完全であるとか,欠陥があるため,審査のために完全な出願書類として取り扱うことができないときは,局長の判断により,出願人は通知を受ける。出願は,完了のために最大3カ月の猶予期間が与えられる。出願は,上記の期間の末日までに完全なものにされないときは,放棄されたものとみなされる。かかる場合には,出願費用は返還されない。

 

§97.12 出願番号と受理日

(a) 出願書類は植物品種保護庁に受理された順に番号と日付が付される。出願人は,実務的に可能な限り直ちに番号と有効な受理の日付を書面により通知を受ける。

(b) 出願人は,本法55条に従い,先行する外国出願の受理日付の利益を主張することができる。外国出願の認証つきの写しは,審査官の要請により提出されなければならない。もし,外国出願が英語でないならば,宣誓されるか又は公の翻訳者により正確性が認証された英訳が,出願書類に付されて提出されなければならない。

 

§97.13 保有者の死亡又は法的無能力

保有者の死亡の場合,又は保有者が法的に無能力な場合,法定代理人(遺言執行者,管財人,又は後見人)又は死亡した保有者の相続人又は譲受人は,出願人として署名できる。もし,出願人が,出願後登録までの間に死亡した時は,権利証はその者の法定代理人,相続人又は譲受人に対し,各自が適切に手続きに参加することにより付与されうる。

 

§97.14 共同出願

(a) 共有者は,共同出願人として署名することにより共同出願しなければならない。

(b) 出願が2人以上の者により共有者としてなされているが,彼らが実は共有者ではない場合には,権利証の発行に先だって,当初の出願人らにより署名された書面による説明書とともに訂正された出願書類を提出することにより,補正されなければならない。譲受人がいる場合には,かかる陳述書には,譲受人による署名もなされなければならない。

(c) 出願が実際の共有者よりも少ない人数の者によりなされている場合には,出願は,共有者の全てが署名した書面による説明書とともに訂正された出願書類を提出することにより補正される。もし譲受人がいる場合には,かかる陳述書には,譲受人による署名もなされなければならない。

(d) 共有者の一人が出願に加わることを拒否するか又は真摯な努力をした後に共有者を発見できなかったときは,それ以外の保有者が自身と欠けた保有者のために出願できる。このような出願には,書面による説明を添付し,欠けた保有者の知れたる最後の住所を記載する。

かかる出願が提出されたとの通知は,植物品種保護庁により欠けた保有者に対し,その最後の知れたる住所に宛てて送付される。このような通知が不送達で植物品種保護庁に返送されてくるか,欠けた保有者の住所が知れないときは,出願が提出されたとの通知は,同庁の公報に一度掲載される。

権利証発行の前であれば,欠けた保有者は書面による説明書を提出することにより,出願に加わることができる。本項により共有者全員よりも少ない人数で取得した権利証は,あたかも元来の権利者全員が出願に加わったと同じ権利と特権を上記の保有者に与える。

 

§97.15 譲渡された品種と権利証

ある品種において,全部又は一部の利益が譲渡される場合,出願は,保有者又は§97.13において特定された者のうち1名によりなされる。しかし,権利証は譲受人に対し発行され,又は,品種における部分的利益が譲渡された時は,保有者と譲受人とに対して発行される。

 

§97.16 出願人による補正

出願は,品種保護庁による最初の審査と処分の前又後,第2の審査ないしは継続審査又は§97.107に規定された再審査の後,又は,審査官から特に求められた場合に求められたとおりに,補正することができる。かかる補正は,前もって明示されていないか,又は,以前にこれを否定していた場合において,品種の種子は認証種子のクラスとしてだけ品種名で販売されるべきことの記述を含むものであってよい。ひとたび確定的な記述がなされたならば,かかる記述を取り消すための補正は許されない。ただし、その品種が販売されてラベルを付されたことがないか,または、当該品種が認証種子のクラスの種子としてのみ品種名で売られるべきことが何らかの方法で公表されていない場合はこの限りでない。

 

§97.17 保存されるべき完成した出願書類の付属書類

完成した出願書類とともに提出された付属書類は,§97.23(c)項において規定される場合を除き,植物品種保護庁において保管される。権利証の発行後は,植物品種保護庁は,所定の料金を支払う限り,何人に対しても出願書類と,関連する付属書類の写しを提供する。

 

§97.18 秘密に取り扱われる出願

(a) 出願中の出願書類は秘密に取り扱われなければならない。下記に規定する場合を除き,出願書類の提出,特定の出願が係属中であること,又は特定の出願の対象となっている事項に関し,植物品種保護庁は,いかなる情報も与えない。さらに,何人も,出願人やその譲受人,あるいはその弁護士もしくは代理人の書面による承諾なくして,係属中の出願書類やそれに関する書類を閲覧することができず,写しをとることもできない。その例外として,植物品種保護庁の業務を適切に実施するため,若しくは議会の定める何らかの法令の規定を実施するため必要であると認めた場合,又は,法56条又は法57条及び施行規則§97.19に定められている場合のみ,5.U.S.C.552と本編の規則第1.4条に従って,局長がなすことが認められる。

(b) 放棄された出願は公開されてはならない。しかしながら,放棄された出願が,発行された権利証に直接引用されかつ利用可能な場合には,出願人から与えられた書面による承諾がある限り,書面による申し出を行ったいかなる者も,閲覧することができ又は写しをとることができる。放棄された出願書類は返還されない。

(c) 公衆の閲覧に供されていない放棄された出願(本条(b)参照)についての局長の決定は,局長の指示により公開され又は周知可能なものとすることができる。かかる決定の公表が提案されたときには,出願人に対し,直接にあるいは弁護士や登録された代理人を通じて通知され,異議申立てのために30日以上の期間が設けられる。

 

§97.19 係属中の出願の公開

係属中の出願に関する情報は,局長が公衆の利益のために必要であると判断した場合には,定期的に公報によって公開されなければならない。各出願に関し,公報には以下のことが示される。

(a) 出願番号及び出願日

(b) 品種名又は仮称

(c) 種の種類の名前

(d) 出願人が,当該品種について認証される世代数の限定を伴って,認証種子のクラスとしてのみ品種名によって販売されるべきことを特定しているかどうか

 例えば,出願人の名前や住所,あるいは当該品種の特徴的形状の要約といった付加的情報は,出願人の求め又は承認があったときのみ,当該出願がなされたとき又は権利の認可の通知が交付されるまではいつでも,公開することができる。

 

§97.20 所定期間内に応答しなかったことによる放棄

(a) §97.104で規定された場合を除くほか,出願人が,植物品種保護庁からの出願人に対し行為するよう最後の要求が通知された後30日以内に,あるいは局長によって指定されることのできる延長期間内に,積極的に出願手続を進めなかった場合には,出願は放棄されたものとみなされる。かかる場合出願費用は返還されない。

(b) 植物品種保護庁が行為を求める最後の要求をしたのにこれに従わず,出願の修正の提案やそれに関する手続を行った場合には,出願を放棄から救済する効力を有しない。

(c) 出願人が善意で出願を進めようとし,行為の要求事項を実質的には満たしているものの,いくつかの手続的な要求を不注意により満たしていない場合には,出願が放棄されたとみなされる前に,出願人に対し,手続的な要求に合致させる機会が与えられなければならない。局長は,出願の瑕疵を補正するために30日以上の期間を設定することができる。

 

§97.21 応答期間の延長

 特定の行為にかかる植物品種保護庁の要求に対する出願人の応答期間は,局長により,正当かつ十分な理由がある限りにおいて,指定された合理的な期間,延長されなければならない。延長の要求と適切な費用の支払いは,指定された応答期間になされなければならない。単に延長要求の申請が受理されただけでは,いかなる事案であっても延長を認めたり応答期間を定めたりすることを要するものではない。

 

§97.22 応答しなかったことにより放棄された出願の回復

 出願人の側において出願の完成を積極的に進めなかったことにより放棄された出願は,放棄から3か月以内であれば,局長が,その不作為が不注意又は不可避なものであって,詐欺的な意図に出たものではないと判断した場合には,ここに規定されるところに従い,係属中の出願として回復することができる。放棄された出願の回復の要求は,応答しなかった理由を示した書面の陳述と,行為についての最後の要求に対する応答と,所定の費用をもってなされなければならない。

 

§97.23 出願の取り下げ及び放棄

(a) 出願は,出願人,もしいる場合には登録された弁護士ないし代理人又はもしいる場合には登録された譲受人によって署名された書面の取下書ないし放棄書が庁に提出されることによって,取り下げられ又は放棄されることができる。

(b) 放棄された出願は,放棄から3か月以内に,所定の費用を支払い,かつ,詐欺的な意図によって放棄がされたのではないことを示すことにより,回復することができる。

(c) 取り下げられた出願の原本は,出願人に返還され,再出願し,かつ新たな出願費用の支払いをすることによってのみ再審査される。

(d) 経過措置規定。1995年4月4日において出願係属中の出願人は,同人が出願の取下げと1994年に改正された植物品種保護法の下で再出願することを希望することを書面にて植物品種保護庁に通知することができる。現行の出願費用の支払いが必要であるが,その他の正規の手続は要しない。

 

§97.24 譲受人

 出願について完全な利益を有する登録された譲受人は,出願人を除外して出願を積極的に進め又は放棄する権限を有する。

 

■ 審査,認可及び拒絶

§97.100 出願の審査

(a) [削除]

(b) 出願の審査は,出願に含まれる種に属する品種に関する全ての利用可能な書類,出版物又は他の資料の再調査を含む。ただし,その出願に基本的な瑕疵がある場合には,審査官の判断により,審査は,当該瑕疵を特定しかつ出願人に補正のために必要な措置を通知することに限定される。もっとも,審査官は,品種が新規で,区別性があり,均一性,安定性があり保護資格があると認めるまでは,形式上又は手続上の問題があっても,指摘することはできるが指摘する必要はない。

 

§97.101 認可の通知

 審査により,出願人が権利証を受けるにふさわしいことが判明した場合には,認可の通知が出願人,もしいる場合には,登録された弁護士又は代理人に対して発送され,所定の費用の支払いを要求する。当該費用は,認可通知の日から1か月以内に支払いを要する。支払期日後は,§97.175に基づいて要求される延滞費用が支払われなければならない。

 

§97.102 認可後の修正

 認可通知が発行された後の出願の補正は,権利証が発行されていない間は,これをなすことができる。

 

§97.103 権利証の発行

(a) 認可通知が発行され,所定の費用が植物品種保護庁に受領され,かつ,出願人が,当該品種が認証種子のクラスとしてのみ品種名で販売すべきこととするかどうかを明記した後は,速やかに権利証が発行されなければならない。その選択がなされ,かつ,当該品種の種が認証種子のクラスとしてのみ品種名で販売されるべきであるとする権利証が発行されたときには,そのような権利の撤回は,権利証の修正によって認められることはない。

(b) 権利証は,権利者に対し届けられ又は郵送される。

 

§97.104 放棄された出願又は権利証

(a) 本条(c)項に規定された場合を除き,認可通知の日から1か月以内に通知に示された費用が支払われない場合には,出願は放棄されたものとみなされる。

(b) 植物品種保護庁が要求した場合には,保有者は,当該品種の生育可能な基本種子のサンプルを補充し,かつ,補充についての取扱手数料を納めなければならない。要求がある場合には取り替えられた種子のサンプルは保有者に返還されなければならないが,そうでなければ廃棄される。要求があった日から3か月以内に生育可能な基本種子が補充されない場合には,権利証は放棄されたものとみなされる。かかる要求の日から1年後直ちに,放棄された登録の通知が公報にて公表され,その公報には,当該品種が公に利用できるようになったこと,もし,以前には「認証種子のみ」として品種名により販売すべきことが明記されていた場合には,かかる制限がもはや適用されなくなったことも記載される。

(c) 認可手数料と生育可能な基本種子のサンプル又は遅延費用が最終期限日から9か月以内に提出された場合には,放棄が生じなかったものとして,局長によって受理される。しかるべき理由がある場合には,局長は,権利証が放棄されたとの宣言前に,生きた基本種子を提出するための期間を合理的な期間延長することができる。

(d) 権利証は,出願人,登録された弁護士ないし代理人又は登録された譲受人が,局長に書面で知らせることによって,放棄されることができる。かかる通知を受け取った場合,局長は,当該品種が公に利用可能になったこと,もし以前には「認証種子のみ」として品種名により販売すべきことが明記されていた場合には,かかる制限がもはや適用されなくなったことを,公報にて公表する。

 

§97.105 出願の拒絶

(a) もし,品種が審査官により,新規で,区別性があり,均一で,安定しているとは認められないときは,出願は拒絶される。

(b) 出願の拒絶の場合,審査官は,出願が拒絶された理由を述べる。その理由が,複雑な特定の資料の引用を含む時には,依拠された資料の特定の部分は,なるべく実効性のあるように示されねばならない。各理由が適切であることについては,それが一見して明らかではない場合には明確に説明されなければならない。

(c) もし,先行の国内権利証が拒絶の理由として引用されるなら,その番号,日付と保有者の名が述べられなければならない。もし,先行の外国の権利証又は権利が拒絶の理由として引用されるなら,出願人が引用された権利証又は権利を特定することができるために十分なように,その国籍又は国,番号と日付そして保有者の名が述べられ,その他のデータが提供されなければならない。

(d) もし,拒絶の理由として刊行物が引用されていれば,著者(もしあれば),題号,日付,頁又は蔵書票,発行所,又は写しを見ることができる場所が示される。

(e) 拒絶が審査官にとり知れたる事実に基づくときには,出願人の要請で,拒絶は審査官の宣誓供述書により証拠付けられる。このような宣誓供述書は出願人その他の者の宣誓供述書により反駁又は説明の対象とされなければならない。

(f) 放棄された出願は,拒絶の理由として引用されない。

 

§97.106 出願人による応答,再審査の要請

(a) 審査官による拒絶査定の後,出願人は,拒絶に応答することができ,出願の補正とともにあるいは補正なしで再審査を要請できる。補正は審査官が特定した拒絶の理由に対応して応答するものでなければならない。

(b) 再審査を受けるため,出願人は,書面による再審査の要請をせねばならず,審査官の審査において誤りであると主張するところを特に摘示する。出願人は,拒絶査定の根拠として審査官が引用したそれぞれの理由に対し応答する。誤った形式又は手続を理由とする拒絶に対する再審査の要請は,品種が新規で,区別性があり,均一で,安定性があるかという問題が解決するまで局長により一時的に中止されることがある。

(c) 出願人の再審査の要請は,当該事案を最終処分まで進めるために善意による試みでなければならない。出願人の一般的主張,すなわち,出願書類又は補正において出願人が引用した文言が,その品種が新規で,区別性があり,均一で安定的であることを根拠付けると一般的に主張するのみで、当該文言が、新規で,区別性があり,均一で安定的であると主張されている当該品種を審査官が引用した資料とどのように区別し,特徴づけるのかについて特段の説明がなされていない場合には,再審査の根拠とはならない。

 

§97.107 再審査及び最終の処分

再審査において,出願が局長から拒絶されたならば,出願人は,拒絶の理由を,最初の審査と同様の方法により局長から通知される。出願人からの長官に対する不服申立がなければ,かかる拒絶は最終処分になる。もし,不服申し立てに対し,拒絶との原決定が長官から支持されれば,§97.500に規定されているように,その拒絶は最終的に裁判所に不服申し立てすることができる。

 

§97.108 最終の処分後の補正

(a) 局長による最終的な拒絶の後であっても,出願の補正は,拒絶の理由を克服するためになされうる。植物品種保護庁によるこのような補正の認容又は拒否及びこれに関する手続は,不服申し立て又は,応答を怠ったことによる放棄につき設けられている期限から,出願人を救済するものではない。

(b) 出願のいかなる補正であっても,不服申立て中はこれをすることができない。不服申し立てに対する決定の後,補正は,その決定に従ってなすことができる。

 

■ 権利証における誤りの訂正

§97.120 訂正された権利証—-植物品種保護庁の過誤

登録が植物品種保護庁における過誤のため不正確なときは,局長は,事実とかかる誤りの原因をのべた訂正証明書を,印章付きで無料で権利者に対して送付し,同庁における記録に記載されるべきものとして,発行することができる。

 

§97.121 訂正された権利証--出願人の過誤

事務的な過誤や誤植,重要でない性質の過誤又は品種の記載事項(紛らわしい品種名の使用又は,同一種の異なる品種に対して与えられた名前の使用を含むがこれに限定されない。)に関する過誤など出願人の過誤を理由として登録が不正確であり,かつ,かかる過誤は善意で生じたものであり,それ以上の審査を必要としないと局長により判断された場合,局長は,必要な手数料の支払いと元の権利証の返還を受けて,本法85条に従って訂正された権利証を発することで登録を訂正することができる。もし当該誤りが再審査を必要とする場合には,登録の訂正は,再審査の結果に従って行われるべきである。

 

■ 権利証の再発行

§97.122 認証種子のみの選択

保有者が,権利証発行後,保護品種が認証種子のクラスとしてのみ品種名で販売することを選択するときは,植物品種保護庁に対して元の証明が返還され適宜な料金の支払いがあれば,新しい権利証の発行を受けることができる。

 

■ 譲渡と記録

§97.130 譲渡の記録

(a) 出願の譲渡又は,植物品種保護の権利証の譲渡又は,ある品種における何らかの利益の譲渡又はライセンス又は品種の利用権の付与もしくは移転は,本法101(7U.S.C.2531)に従い,植物品種保護庁における記録のために提出されることができる。

(b) 英文ではない法律文書又は関連する権利証又は出願を特定していない法律文書は,記録されない。

(c) 権利証の権原に関する法律文書は,権利証に書かれている番号と受付の日付,保有者の名及び品種名称により,権利証を特定する。出願の権原に関する文書は,出願中に述べられた受付番号と出願の日付,保有者の名及び品種名称により,出願を特定する。

(d) 譲渡が出願と同時に又はこれに続いて行われたが,その番号と受付の日付が確認される前であれば,譲渡は,出願の日付,保有者の名,そして品種名称により出願を特定することとなる。

 

§97.131 条件付譲渡

植物品種保護庁に記録された譲渡は,譲渡の当事者双方による文書か,あるいは,管轄裁判所の命令により取り消されるまで,庁としては完全な譲渡と取り扱う。植物品種保護庁は,金銭の支払いのような,譲渡に先立つ条件が履行されているか否かを判断しない。

 

§97.132 公衆の閲覧を認める譲渡記録

(a) 元来の権利証又は訂正された権利証に関する譲渡記録は,公衆の閲覧に公開される。そして,記録された文書の写しは,規定の料金の支払いの上,取得される。

(b) 係属中の出願又は放棄された出願の譲渡に関する記録は,本法57条と§97.19に規定により出願記録が公開されている場合,又は,他の法律の規定を執行する必要がある場合を除き,公衆の閲覧に対し公開されてはならない。係属中又は放棄された出願についての譲渡記録及び情報の写しは,出願人又はその譲受人,登録された弁護士又は代理人の書面による授権がある場合,又は法律の規定の執行に必要のある場合にのみ取得できる。譲渡の写しの申請は,その譲渡を正しく特定するものでなければならない。

 

■ マーク又はラベル表示の規定

§97.140 出願後

品種の保護の出願が受理され所定の料金を支払った場合には,保有者又はその者から指定を受けた者は,品種又は品種の種子の容器又はかかる種子から生産された植物に,概ね以下のように表示することができる。「無権限の繁殖を禁ずる・・・(無権限の種子の増殖を禁ずる)--合衆国品種保護出願中」。該当する場合には,「PVPAの1994年法」又は「PVPAの1994年法-再生産目的の無権限販売は禁じられる」との表示を警告に付加することができる。

 

§97.141 権利証発行後

権利証発行後,品種の保有者又はその指定を受けた者は,品種又は品種の種子の容器又はかかる種子から生産された植物に,概ね,以下のように表示できる。「無権限の繁殖を禁ずる--(無権限の種子の増殖を禁ずる)-合衆国保護品種」。該当する場合には,「PVPAの1994年法」又は「PVPAの1994年法--再生産目的の無権限販売は禁じられる」との表示を警告に付加することができる。

 

§97.142 試験又は増殖

出願を意図し,かつ,試験又は増殖目的で,品種の種子,又は,品種の再生産可能な植物素材を他人に渡す保有者は,そのような植物素材,又は種子の容器,又は植物素材の容器に,概ね,以下のように表示することができる。「無権限の繁殖は禁ずる--試験(又は増殖)専用」

 

§97.143 認証種子の限定

(a) 出願又はその後の補正に基づき,当該品種の種子が認証種子のクラスとしてのみ品種名で販売されるべきことを明示した場合には,保有者又はその指定人は,その種子の容器に概ね以下のように表示できる:「無権限の繁殖は禁ずる--認証種子のクラスとしてのみ品種名で販売されるべきことを明示して、合衆国品種保護出願中」

(b) ある品種が認証種子のクラスとしてのみ品種名でのみ販売されるべきであるということを明示する権利証を受け取った保有者は,品種の種子の容器に,概ね以下のように表示することができる。「無権限の繁殖は禁止される--認証種子のクラスとしてのみ品種名により販売される。--合衆国保護品種」

 

§97.144 付加的なマーク又はラベル

上記のマーク又はラベルに加えて,虚偽や誤認させるようなものではない付加的明示の情報は保有者により用いられうる。

 

■ 弁護士と代理人

§97.150 代理権

出願人は,自分自身で出願手続を積極的に進めることもできるし,書面による授権をされた弁護士と代理人により,代理されることもできる。

 

§97.151 権限

出願人から指定された弁護士と代理人だけが,係属中の出願,又は,手続において,出願人に代わり,書類を閲覧し又はすべての種類の行為も行うことが許される。

 

§97.152 権限の取消;撤回

弁護士又は代理人の権限の付与は,局長への申請によって,出願人によりいつでも取り消されることができ,また,弁護士又は代理人は受任の撤回をすることができる。弁護士又は代理人の権限がそのように取り消されたとき,又は,弁護士又は代理人が辞任したときは,植物品種保護庁は利害関係人に通知し,以後,直接出願人に連絡するか,出願人が指定したところの別の弁護士又は代理人に連絡する。譲渡は,それ自体では,既に与えられた権限の取消として作用しない。しかし,完全な利益の譲受人は,従前与えた権限を取り消すことができ,譲受人自身の選任にかかる弁護士又は代理人により代理させることができる。

 

§97.153 承認された人

§97.151に規定されているとおり、明確に権限を与えられなければ,いかなる人も他人のために植物品種保護庁において出願を提出し,出願手続を進めることは許されるべきではない。

 

§97.154 政府の被用者

法(18U.S.C.203と205)により弁護士又は代理人として政府の省又は機関において手続又はその他の事項を行う資格を奪われている合衆国の公務員と被用者は,その者の公的義務が品種保護の出願につき準備と出願手続を要求するものである場合を除き,出願人を代理する資格はない。

 

§97.155 署名

植物品種保護庁における手続につき,出願人又は当事者を代理する弁護士又は代理人により提出される全ての書面は,出願人又は当事本人により署名されることが要求されている書面を除き,そのような弁護士又は代理人の署名が付されなければならない。

 

§97.156 住所

植物品種保護庁で手続を行う弁護士又は代理人は,住所変更を書面で同庁に通知せねばならない。同庁は,いかなる相手であれ届出のあった直近の住所宛に書面を送付する。

 

§97.157 職業的行為

植物品種保護庁で手続を行う弁護士と代理人は,合衆国裁判所で手続を行う訴訟代理人に一般的に適用される倫理上又は職業上の行為基準にしたがって行動しなければならない。

 

§97.158 [削除]

 

■ 手数料及び負担金

§97.175 手数料及び負担金

下記のサービス及び行為には,以下の料金及び負担金がかかる。

(a) 出願及び公告 518ドル

(b) 調査又は審査 3864ドル

(c) 認可後であって権利証の発行に先立つ新しい出願データ提出 432ドル

(d) 認可と権利証の発行と発行の公衆への通知 768ドル

(e) 放棄された出願の回復        518ドル

(f) 記録,図,権利証,証拠書類又は印刷物の再製(コピー1頁に付き) 1.8ドル

(g) 認証(頁毎に) 1.8ドル

(h) 権利証の訂正又は再発行 518ドル

(i) 譲渡,譲渡の訂正,譲渡の撤回又は取消の記録(権利証又は出願ごとに) 41ドル

(j) 8×10のカラー写真の写し    41ドル

(k) 再審査のための付加料金 518ドル

(l) 支払遅延の付加料金 41ドル

(m) 種子見本の補充の料金(2005年6月20日以降発行の登録にのみ適用) 38ドル

(n) 種子の補充の遅延の付加料金 41ドル

(o) 異議申立手続の請求提出 4118ドル

(p) 長官への不服申立(もし,局長の決定が覆されれば還付されうる。) 4942ドル

(q) 要請に対する応答期間を延期することの承認  89ドル

(r) 出願人の求めによりなされた植物品種保護庁の代理人による出張を要する圃場調査その他のサービスは,標準的政府旅費規程に従って全額(旅費,日当,手当,給料そして行政事務費用を含む)補填されなければならない。  

(s) 本条に含まれないその余のサービスは,局長により定められたレートで請求されるが、いかなる場合も時給107ドルを超えることない。材料費,場所代及び行政事務費用についても負担金として請求される。

 

§97.176 予め支払われるべき料金

料金及び負担金は,出願時又はこの規則において料金又は負担金が支払うべきとされ額が定められている植物品種保護庁による何らかの行為の要請を提出する時に,支払われなければならない。

 

§97.177 支払方法

小切手又は郵便為替は,米国財務省出納局長を受取人としなければならない。外国からの送金は,所定の料金の全額について合衆国において払い出し可能でかつ速やかに換金可能なものでなければならない。植物品種保護庁への郵送による現金の送付は,送り手の危険において行われる。

 

§97.178 還付

過誤納付又は超過支払いによる料金は,還付される。しかし,例えば当事者が出願を放棄し又は不服申立てを撤回する場合などのように、金銭の支払の後の単なる計画変更は,当事者には還付を受ける資格はない。しかしながら,審査又は調査が始まる前に,§97.23(a)の規定に従って出願が自主的に放棄されたのであれば,審査ないし調査費用は還付される。1ドル以下の金額は,特に求められない限り払い戻されない。

                                                                  

§97.179 写しと認証付き写し

(a) 植物品種保護庁に保管され公衆に公開されている出願書類又は権利証の写し,又は記録,書籍,書類,図,又は写真の写しは,要請があり,規定の料金の支払があれば,資格のある人に提供される。

(b) 要請により,写しは,所定料金の支払いがあれば,植物品種保護庁の認証印の刻印により認証され,局長により権限を与えられた公務員により証明される。

 

■ 庁の記録の利用性

§97.190 公開の記録が利用できる時間

公開され植物品種保護庁において保管中の記録の写しは,通常の執務時間に同庁において局長の承認の下に閲覧することができる。

 

■ 異議申立手続

§97.200 権利の認可に対する異議申立て

権利の認可に対して,いかなる者の側からなされる異議申立てであっても,出願係属中及び権利証発行後5年を超えない限り許される。

 

§97.201 異議申立手続

(a) 異議申立ては,異議申立手続を求める書面の提出によってなされるのであり,その申立ては,宣誓供述書により支えられ,そして,出願又は権利証に反対する理由を示すものでなければならない。申立書と添付書類は2部提出されなければならない。もし,係属中の出願に含まれ又は権利証によりカバーされる品種が,本法の下の保護に対しては適格でない又は適格ではなかったことが明らかであると審査官が判断した場合には,異議申立ては局長により認容されることができる。

(b) 申立書と添付書類のコピーは,出願人又は権利者又はその登録された弁護士又は代理人に,植物品種保護庁から送られる。

(c) 出願又は登録の権利者又はその譲受人によってなされる申立てに対する応答は,それらの者に対する申立ての送達後60日以内に局長に提出されることができる。もし,かかる期間に応答が提出されなければ,局長は,異議申立てにおける主張に基づいて決定する。

(d) もし,異議申立てと応答が,証拠を必要とする事実の争点を提起するならば,局長は,各々の立場を支えるべく,宣誓付陳述書又は宣誓供述書を提出するために60日の期間を当事者双方に認める。

(e) 異議申立て後若しくは異議申立て及び応答が提出された後,又は,宣誓付陳述書若しくは宣誓供述書の提出期限経過後なるべく速やかに,局長は,異議申立てが認められるか否かの何れかにつき決定を下さなければならない。局長は,異議申立手続後,発行された権利証を無効にし,そして,その者が育成者又は発見者であると局長の満足する程度に立証した者に対し,同品種につき別の登録をすることができる。その決定は§97.403に規定されている方法で当事者に送達される。

 

■ 優先権主張

§97.205-§97.222 [削除]

 

■ 長官に対する不服申立

§97.300 長官に対する請求

(a) 出願を拒絶又は権利証発行の認可を拒絶する旨の局長の最終判断,又は,§97.18(c),§97.107,§97.201(e)と§97.220に基づいて,局長のなした不利な決定に対して,長官に対し不服申立てできる。

(b) かかる不服申立ては,関連する事実の陳述と再調査されるべき点と,要求する対応とを含むべきである。

(c) 長官に対する不服申立ては,前掲の料金(§97.175を参照)を添えて2部提出されるべきである。

(d) 請求があれば,データ,見解,そして口頭の主張を非公式に又は公式の聴聞で提示する機会は,利害関係人に対して与えられる。もし,正式の聴聞が請求されれば,手続は,諸法における長官制定の公式裁判手続の施行規則the Rules of Practice Governing Formal Adjudicatory Proceedings

Instituted by the Secretary Under Various Statutes(本編§§1.130から§§1.151)に従って行われる。

(e) 本規則に別段の定めある場合を除き,かかる不服申立ては,いずれも不服申立てにかかる行為から60日以内に提出されないときは,時機遅れとして却下される。

 

§97.301 局長の応答

(a) 局長は,申立人の不服申立てに対し,長官から指示される期間内に,必要に応じて、かかる措置を採った理由の説明を含む応答を内容とする,長官に対する書面による陳述を提出することができ,不服申立人に写しを供する。

(b) かかる応答の日付から20日内に,不服申立人は,局長の応答において示された主張の新しい論点に対してのみ再反論を提出できる。

 

§97.302 長官の決定

(a) 長官は,植物品種保護委員会の勧告を受け取った後,局長の決定に対し,全部又は一部につき認容しあるいは覆す。

(b) 長官の決定が,補正された出願に基づいて登録が許されるとの明示の陳述を含むときは,出願人は,かかる決定に一致させるように,その出願を補正する権利を有し,かかる決定は局長を拘束する。

 

§97.303 決定に対する訴え

(a) 長官の決定の写しは,§97.403に規定する方法で請求人と局長に送達される。

(b) 不服申立てが却下されるか,あるいは,本法に従って裁判所に不服申立ての出訴をする期限が満了し,かつ,このような不服申立て又は民事訴訟が提起されないときは,その決定の性質上,局長による更なる行為を求めている場合を除き,不服申立て手続は,却下又は期日徒過を以って終結するものとされる。もし,長官の決定について不服申立てされ,又は法に従って民事訴訟が提起されれば,長官の決定は,抗告審又は民事訴訟の結果を待ち停止となる。

 

■ 優先権,異議申立て又は不服申立手続における一般的手続

§97.400 期間の延長

優先権,異議申立,又は不服申立手続を求めてする何らかの行為の期間の延長は,相当な理由を示される限り,別段の定めがなければ,局長により,あるいは,不服申立てがなされている場合には長官によって,認められることがある。

 

§97.401 雑則

(a) 優先権ないし異議申立てについての局長の決定の再審査又は変更の請求は,決定後20日以内に提起されねばならない。

(b) 局長は,審査官による権限行使の裁量権の濫用を含む事項又は考慮すべきであると考えられるその他の事項を,請求により考慮する。このような異議申立は,異議申立てにかかる決定がなされてから20日以内に提起されないときは,時機遅れとして却下されうる。

 

§97.402 書面の送達

(a) 相手方に送達することが求められ,そして,優先権,異議申立て又は不服申立手続において,植物品種保護庁に提出された全ての書面は,§97.403に規定する方法で長官により送達されねばならない。

(b) 特定の書面は送達されるべきであるとの条文上の要請は,関連する補助的書面の全てもまた送達されるべきであるとの要請を含む。手続の相手方に送達されたことの証明は,補助書面が局長又は長官によって吟味される前に,作成されなければならない。

 

§97.403 送達の方法

本施行規則に基づく書面の送達は,当事者の弁護士又は代理人がいる場合には彼らに対して行われ,弁護士又は代理人がいないときには,当事者本人に対して,以下の方法で行われる。

(a) 送達日を照合するための配達証明付き郵便による書面の写しの郵送。

(b) 送達を受ける者の通常の営業場所において,その者の従業員に対して差し置く方法。

(c) その者が通常の営業場所を持たない場合は,その者の自宅において14歳以上の分別のある家族に写しを差し置く方法。

(d) 局長又は長官が,上記の方法で書面の送達ができないと判断したときは,公報に一度掲載される通知により送達される。

 

■ 裁判所による決定の再審理

§97.500 合衆国裁判所への不服申立て 

不服申立てについての長官の決定に不服ある申立人は,合衆国関税特許高等裁判所(※同裁判所は1989年にthe Federal Courts Improvement Actにより廃止され,CAFCに移管された。)又は合衆国高等裁判所に不服申立てすることができ,又は,本法の定めるところにより合衆国地方裁判所における民事訴訟を提起することができる。かかる事案において,不服申立人もしくは原告は,長官に通知し,不服申立て又は民事訴訟の理由を述べ,記録の謄本を取得しなければならない。記録の謄本は,裁判所の命令に基づき,不服申立人及び原告の注文により彼らが費用を負担して,植物品種保護庁により裁判所に送られなければならない。

 

■ 停止命令手続

§97.600 実施規則

虚偽表示について定める本法128条に基づく手続は,本章§202.10から§202.29(連邦種子法の下における実施規則)(7U.S.C.1551以下)に従って行われるべきである。ただし,それら規則における「審査官」への全ての言及が,農務省の行政法裁判官であると解釈され,植物品種保護法の下での規則で定義されている「審査官」ではないと解釈されるものとする。

 

■ 公衆利用宣言

§97.700 広範な利用についての公共の利益

(a) もし,本法44条に従いある保護品種が公衆の利用のための公開を宣言されるべきであると,長官が信ずるに足る理由を有するならば,長官は,公衆の利益のためのかかる措置の必要性に関して,品種の権利者に適切な通知をなし,口頭又は書面で意見を述べる機会を与えねばならない。

(b) 本条(a)項に規定するところの,保有者が見解を述べる期間が満了した場合には,長官は,植物品種保護委員会に勧告を求めて諮問しなければならない。その勧告には,制限又は補償の率についての勧告を含む。

(c) 植物品種保護委員会から勧告を受取った後,長官は,新聞発表により,公衆の用に供するため品種を公開することを宣言する§44の規定に基づく決定を,品種の保有者,植物品種保護委員会の構成員及び公衆に通知する。品種は公衆の用に供するために公開されないとの決定は,当該品種の保有者と植物品種保護委員会の構成員に対してのみ伝達される。

 

■ 公報

§97.800 公用品種の説明書の公報

植物品種保護庁から取得可能な様式による「公用品種」の品種説明書の自主的開陳は,同庁の公報における公開のために受領される。このような公開は,その品種が実際に,区別性があり,均一性があり安定性があることを承認するものではない。

 

§97.900 公式識別標章の型

図1に示す標章は,「植物品種保護庁」と「合衆国農務省」の語を含んでおり,これが植物品種保護庁の公式識別標章である。この公報標章は,植物品種保護庁により植物品種保護の権利証において印章として使われるものであって,USDA/AMSの標章目録に加えられるものとして情報庁により認められ,それは,AMSの資料とともに使用することが承認されている。

 

      (図略)

 

  図1 植物品種保護庁の公式識別標章

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