top of page

 

欧州連合理事会規則2100/94号の適用のための共同体の植物品種保護庁における手続に関する施行細則を定める欧州委員会規則2009年9月17日付規則874/2009号(Commission Regulation (EC) No 874/2009 establishing implementing rules for the  application of Council Regulation (EC) No 2100/94 as regards proceedings before Community Plant Variety Office)

(改訂)

 

欧州委員会は、

共同体創設条約に鑑み、

1994年7月27日付欧州連合理事会規則2100/94号共同体の植物品種保護の権利に関する規則及びその114条に鑑み、

 

(1)欧州連合理事会規則2100/94号の適用するため、共同体の植物品種庁における手続に関し、創設された実施細則である欧州委員会規則(EC)1995年5月31日付1239/95号が実質的な数度の改正を経ており、以後も改訂されることから、明確にするため改訂されるべきである。

(2)欧州連合理事会規則2100/94号(基本規則)は、新しい、植物品種保護の権利の共同体の制度を創設し、そこでは、植物品種保護の権利は、共同体を通して有効とされる。

(3)このような制度は、植物品種庁において効果的な方法にて実行されるべきであり、そこでは、関係する植物品種の技術審査を行う審査局によって補助され、指定された加盟国の機関やそのために創設される自庁の付随庁の業務を担当させることができる。この観点から、植物品種庁と、その付随庁、審査局及び加盟国の機関の関係を定義することは重要である。

(4)技術審査に要する費用は、植物品種庁から審査局へ係った費用の全額補填を基礎として支払われるべきである。費用の計算に関する統一的な方法は、運営評議会によって設定される。

(5)植物品種庁の決定は、不服審判委員会に対して申立てることができる。不服審判委員会における手続が採択される。更に不服審判委員会は、必要に応じ、運営評議会により設置される。

(6)加盟国や植物新品種の保護に関する国際条約(UPOV)の加盟国である第三国の責任においてなされた審査報告書は、決定における十分な基礎として考えられるべきである。

(7)申立または異議申立と植物品種庁によるその送達は、電磁的方法によることが認められる。更に、植物品種庁には、電磁的方法により、共同体の植物品種保護の権利の証明書を発行する潜在的な権限が与えられる。共同体の植物品種保護の権利に関する情報の公表も、電磁的方法によることも可能である。最終的には、手続に関する書類の電磁的な保管も許される。

(8)植物品種庁の長官は、電磁的な通信や保管の方法の使用に関する詳細を定める権限を有する。

(9)基本規則の23条、29条、34条、35条、36条、42条、45条、46条、49条、50条、58条、81条、85条、87条、88条及び100条の規定は、すでに明確に、その実施のために詳細なルールの定めが必要である、または定める事ができると定めている。

(10)共同体の植物品種保護の権利の譲渡の効果発生のための記入や、その権利を受ける権利の譲渡については、登録簿への記入に関するルールにおいて定義される。

(11)植物品種庁の運営評議会に諮問した。

(12)この規則において定められるルールは、現行の植物品種保護の権利の委員会の意見に従っている。

により本規則を採択する。

 

 

第1編  手続当事者、植物品種庁、審査局

第1章  手続当事者

1条      手続当事者

  1. 以下の者は、共同体の植物品種庁(以下「植物品種庁」という。)における手続の当事者となることができる。
    (a)共同体の植物品種保護の権利の出願人
    (b)規則2100/94号(以下「基本規則」という。)59条2項に定める異議申立人
    (c)共同体の植物品種保護の権利の保有者(以下「保有者」という。)
    ​(d)その者の申立て又は申出が植物品種庁において決定を下すための前提条件となる者

  2. 植物品種庁は、書面による申出に基づき、1項に定める者以外の者で直接かつ個人的に関係する者が手続に参加することを許可することができる。

  3. すべての自然人又は法人若しくは適用される法律により法人格が与えられている団体は、1項及び2項でいう者とみなす。

 

2条      手続当事者の表示

  1. 手続当事者は、名称及び住所をもって表示する。

  2. 自然人の名称は、同人の姓と名で表示する。法人又は企業若しくは会社は、公式の名称で表示する。

  3. 住所には、手続当事者が居住し又は拠点の所在地若しくは事業の設立地を有する国の名称を含め、すべての関係する行政上の情報を含める。望ましくは、住所は、各手続当事者につき一つだけ表示する。複数の住所が表示されている場合には、手続当事者が送達場所として他の住所を指定している場合を除き、最初に記載された住所のみが考慮される。
    植物品種庁の長官は、住所に関する詳細およびその他の情報伝達手段(data communication links)の関連する詳細を定める。

  4. 手続当事者が法人である場合には、加えて、関係する国内法に基づき当該手続当事者を法的に代表する自然人の名称及び住所をもって当該手続当事者を表示する。2項の規定は、手続当事者を代表する自然人に準用する。
    植物品種庁は、本項第1段落第1文の規定からの修正を認めることができる。

  5. 共同体又は加盟国が手続当事者である場合には、当事者として参加している各手続について代表者を連絡する。

 

3条     手続当事者の言語

  1. 手続当事者は、植物品種庁が最終の決定を言い渡すまで、植物品種庁に最初に提出され、かつ、提出のための署名がなされた文書で使用するために選んだ欧州共同体の公用語を使用しなければならない。

  2. 手続当事者が1項に従い使用されるべき言語以外の欧州共同体の公用語により提出のために署名した文書を提出する場合には、その文書は、植物品種庁が他の送達により提供されたその翻訳を入手したときに受領されたものとみなされる。植物品種庁は、この要件からの修正を認めることができる。

  3. 当事者が、口頭手続において、植物品種庁の職員の資格を有する構成員、他の手続当事者又はその両者が使用している欧州連合の公用語(これがその当事者が用いるべき言語となるが)以外の言語を使用する場合には、その当事者は、その公用語への同時通訳を提供する。この提供をしない場合には、口頭での手続は、植物品種庁の職員の資格を有する構成員及び他の手続当事者が使用する言語で続けることができる。

 

4条     口頭手続及び証拠調べにおける言語

  1. 口頭審理において証拠を提供する手続当事者及び証人又は専門家は、欧州連合のいずれかの公用語を使用することができる。

  2. 手続当事者の申出に基づき1項に定める証拠調べが認められる場合で、手続当事者、証人又は専門家が欧州連合の公用語で十分に表現することができない場合には、申出を行った当事者が、すべての手続当事者により、手続当事者を欠く場合には植物品種庁の職員により共同して使用されている言語への通訳を提供する場合に限り、その者を聴取する。
    植物品種庁は、本項第1段落からの修正を認めることができる。

  3. 植物品種庁の職員、手続当事者、証人又は専門家が口頭手続又は証拠調べにおいて欧州連合のいずれかの公用語で行った供述は、その使用された言語で議事録に記載する。他の言語で行った供述は、植物品種庁の職員が使用する言語で記載される。

 

5条      手続当事者の文書の翻訳

  1. 手続当事者が欧州連合の公用語以外の言語により文書を提出する場合には、植物品種庁は、受領した文書について、当該手続当事者に対して、当該手続当事者又は植物品種庁の職員の権限ある構成員が使用する言語への翻訳を求めることができる。

  2. 手続当事者が文書の翻訳を提出する場合には、植物品種庁は、期限を指定して、その翻訳が原文に一致していることの証明書を提出するよう求めることができる。

  3. 1項に定める翻訳及び2項に定める証明書が提出されない場合には、文書は受領されなかったものとみなされる。

 

第2章 植物品種庁

第1節 植物品種庁の委員会

6条    委員会の委員の資格

  1. 基本規則35条2項に定める委員会は、植物品種庁の長官の裁量により、技術的又は法律的な資格のある委員又はその双方で構成される。

  2. 技術的な委員は、植物科学の分野において学位を有している者又は一般に認められた実績に基づき適格性を有する者でなければならない。

  3. 法律的な資格のある委員は、法学部の出身者又は知的財産若しくは植物品種の登録の分野において一般に認められた実績に基づき適格性を有する者でなければならない。

 

7条    委員会の決定

  1. 委員会は、基本規則35条2項に定める決定を行うことに加えて、以下の事項を処理する。
    - 基本規則67条2項に基づく決定の執行停止の効力の排除
    - 基本規則70条に基づく中間的更正
    - 基本規則80条に基づく原状の回復
    - 基本規則85条2項及び本細則75条に基づく費用の決定

  2. 委員会の決定は、その委員の過半数により決議する。

 

8条    委員会の個々の委員の権限

  1. 委員会は、委員会を代表する審査官(Rapporteur)として委員の一人を任名する。

  2. 審査官は、特に以下の事項を行うことができる。
    (a)25条に基づく義務の遂行及び13条及び14条に定める審査局による報告書の提出の監視
    (b)手続当事者が補正すべき不備に関する連絡及び期限の設定を含む植物品種庁における手続きの遂行
    (c)手続当事者との緊密な協議及び情報交換

 

9条    長官の役割

植物品種庁の長官は、その権限に基づいて下される決定の一貫性を確保する。長官は、特に基本規則59条に従い申し立てられる異議に対する決定及び基本規則61条、62条、63条又は66条に定める決定を行うための条件を定める。

 

10条   相談対応

植物品種庁の職員は、手続当事者及び第三者との定期的な協議期日を開催するために、基本規則30条4項に従い指定された国内担当機関の構内及び本細則13条及び14条に定める審査局の構内を無償で使用することができる。

 

第2節 不服審判委員会

11条   不服審判委員会

  1. 基本規則67条に定める決定に対する不服に関する決定のために、不服審判委員会を設置する。必要がある場合には、運営評議会は、植物品種庁の提案に基づき複数の不服審判委員会を設置することができる。その場合、運営評議会は、不服審判委員会間の職務分担を定める。

  2. 各不服審判委員会は、技術的及び法律的な資格のある委員で構成される。6条2項及び3項を準用する。議長は、法律的な資格を有する委員とする。

  3. 不服審判委員会の議長は、その委員の一人を審査官として不服申立の審査を命じる。その任命は、適切な場合には、証拠の取調べを含めることができる。

  4. 不服審判委員会の決定は、その委員の過半数により決議する。

 

12条   不服審判委員会付登録所

  1. 植物品種庁の長官は、不服審判委員会に登録所を付属させる。植物品種庁の職員は、不服申立にかかる決定に関する手続に関与していた場合には、登録所から排除される。

  2. 登録所の職員は、特に以下の事項について責任を負う。
    - 本細則63条に定める口頭審理及び証拠調べの議事録の作成
    - 基本規則85条5項及び本細則76条に定める費用の配分
    - 本細則77条に定める費用の合意の承認

 

第3章 審査局

13条   基本規則55条1項に定める審査局の指定

  1. 運営評議会が加盟国の所轄局に技術的審査を付託した場合には、植物品種庁の長官は、当該所轄局(以下「審査局」という。)に指定を通知する。植物品種庁の長官が通知を発した日にその効力を生じる。この規定は、本細則15条6項を条件として、審査局の指定の取消に準用する。

  2. 技術的審査に関与した審査局の職員は、技術的審査に際し又は関連して知ったいかなる事実、文書及び情報も無許可で使用し又は許可を受けていない者に開示してはならない。構成員は、関係する技術的審査の終了後、退職後及び関係する審査局の指定の取消後においてもこの義務に拘束される。

  3. 2項は、出願人が審査局に提供した植物品種の素材に準用する。

  4. 植物品種庁は、2項及び3項の遵守を監視し、基本規則81条2項に従い審査局の職員の排除及び申し立てられた異議について決定する。

 

14条   基本規則55条2項に定める審査局の指定

  1. 基本規則55条2項に従い品種の技術的審査を機関に付託しようとする場合には、植物品種庁は、同意を得るために、当該機関の審査局としての技術的適性に関する説明文書を運営評議会に送付する。

  2. 基本規則55条2項に従い品種の技術的審査のために付属庁を設置しようとする場合には、植物品種庁は、同意を得るために、付属庁を設置する技術的及び経済的適切性並びに付属庁の所在地に関する説明文書を運営評議会に送付する。

  3. 運営評議会が1項及び2項に定める説明文書に同意を与える場合には、植物品種庁の長官は、1項に定める機関へその指定を通知し又は2項に定める付属庁の指定を欧州連合のOffice journalに掲載することができる。これらは運営評議会が同意する場合に限り、取り消すことができる。13条2項及び3項は、本条1項に定める機関の職員に準用する。

 

15条   指定の手続

  1. 審査局の指定は、審査局による植物品種の技術的審査の遂行及び基本規則58条に定める手数料の支払いを定めている植物品種庁及び審査局の間の書面による合意により効力を生じる。本細則14条2項に定める付属庁の場合には、植物品種庁が発行する執務の方法に関する内部規則に従う。

  2. 書面による合意の効力により、その合意に従い審査局の職員が実施した又は実施する行為は、第三者が関係している限り、植物品種庁の行為とみなされる。

  3. 審査局が、基本規則56条3項に従い他の技術的に適格な団体の役務を受ける場合には、植物品種庁との書面による合意において当該団体の名称が明示されていなければならない。基本規則81条2項並びに本細則13条2項及び3項は、関係する職員に準用する。関係する職員は秘密を保持すること誓約書に署名しなければならない。

  4. 植物品種庁は、生じたすべての費用をまかなえるよう技術的審査の実施に対して審査局に手数料を支払う。運営評議会は、すべての指定された審査局に適用される費用計算の統一的な方法及び統一的な費目を定める。

  5. 審査局は、定期的に実施した技術的審査の費用及び必要な参照用の収集物の維持の費用の明細を植物品種庁に提出する。3項に定める場合には、審査局は、別に当該団体の監査報告を植物品種庁に提出する。

  6. 審査局の指定の取消は、1項に定める書面による合意の解消が効力を生じる日まではその効力を生じない。

 

第2編 植物品種庁における具体的な手続

第1章  植物品種保護の権利の出願

第1節  出願人の行為

16条   出願の申出

  1. 共同体の植物品種保護の権利の出願は、植物品種庁、基本規則30条4項に従い指定された国内担当機関又は設立された付属庁に申し出る。
    植物品種庁に出願を申し出る場合には、書面のひな形により又は電磁的な方法で申し出ることができる。国内担当機関又は付属庁に申し出る場合には、書面のひな形2通により申し出る。

  2. 基本規則49条1項bに従い植物品種庁に送付される情報は、以下の事項を含む。
    - 申請者及び手続上の代理人を特定する事項
    - 共同体の植物品種保護の権利の出願の申出をした国内担当機関又は付属庁
    - 関係する品種の仮の名称

  3. 植物品種庁は、以下のひな形を無償で入手できるようにする。
    (a)共同体の植物品種保護の権利の出願のための出願書のひな形と技術上の質問表
    (b)回付を懈怠した場合の結果を示す、2項に定める情報を回付するためのひな形

  4. 出願人は3項で定めるひな形に記入し署名する。出願が電磁的な方法で提出された場合には、署名に関して、57条3項の第2段落に従う。

 

17条   出願の受理

  1. 基本規則30条4項に従い指定された国内担当機関又は設立された付属庁が出願を受理した場合には、基本規則49条2項に従い回付されるべき出願とともに、その受理の確認書を植物品種庁に回付する。受理の確認書には、国内担当機関又は付属庁の事件番号、回付された書類の数及び国内担当機関又は付属庁における受理の日を含める。出願人に対し回付された受理書の写しが発行される。

  2. 植物品種庁が出願人から直接又は国内担当機関若しくは付属庁を通じて出願を受理した場合には、他の規定にかかわらず、事件番号及び植物品種庁における受理の日を付して出願書類を記録し、また、出願人に受理書を発行する。受理書には、植物品種庁の事件番号、受領した書類の数、植物品種庁における受理の日及び基本規則51条にいう出願の日を含める。植物品種庁は出願を受理した国内担当機関又は付属庁に受理書の写しを発行する。

  3. 植物品種庁が国内担当機関又は付属庁を通じて出願の申出から1ヶ月より後に出願を受理した場合には、植物品種庁が十分な書証に基づき出願人が基本規則49条1項(b)及び本細則16条2項に従い情報を回付していたと判断しない限り、基本規則51条にいう出願の日は、植物品種庁の受理の日より前とすることはできない。

 

18条   基本規則50条1項に定める条件

  1. 出願が基本規則50条1項に定める条件に適合していないことを発見した場合には、植物品種庁は、その不備を補正する十分な情報が受理された日が基本規則50条1項にいう出願の日として取り扱われることを述べて、出願人に発見した不備を通知する。

  2. 出願は、基本規則10条1項にいう最初の処分をした日及び国が示されているか又はこの最初の処分がない場合にはその処分がないことが宣言されている場合に限り、基本規則50条1項(i)に定める条件に適合している。

  3. 出願は、加盟国又はUPOVの同盟国における以下の事項に関して、その品種についての先行する出願がなされた日及び国が出願人の最大限知る限りで示されている場合に限り、基本規則50条1項(j)に定める条件に適合している。
    - その品種に関する財産権の出願
    - 公式の承認が品種の公式の明細書を含む場合には、証明及び販売のための品種の公式の承認の申請

 

19条   基本規則50条2項に定める条件

  1. 出願が本条2項、3項及び4項の規定又は本細則16条に適合していないと判断した場合には、植物品種庁は、本細則17条2項を適用するものの、指定する期限内に不備を補正するよう出願人に求める。不備が適正な時期に補正されなかった場合には、植物品種庁は、基本規則61条1項(a)に従い遅滞なく出願を拒絶する。

  2. 出願は、以下の詳細を含む。
    (a)出願人が自然人である場合にはその国籍及び本細則2条に定める手続当事者としての名称並びに育成者でない場合には育成者の氏名及び住所
    (b)植物の属する属、種又は亜種のラテン名及び普通名
    (c)出願人の意見として他の品種と明らかに区別される品種の特性。他の品種は(適切であれば)試験のための参照品種として明示する。
    (d)以下の情報を含む品種の育成、維持及び繁殖
    - 品種の生産に反復して使用する他の品種の素材の特性、品種の名称又はそれがない場合には仮の名称及び栽培
    - 関係する品種が欧州議会及び欧州連合理事会指令2001/18号2条2項にいう遺伝子改変がなされた有機体を示している場合には、遺伝子改変がなされた特性
    (e)品種が育成又は発見かつ完成された地域及び国
    (f)基本規則10条に従い新規性を評価するため品種構成要素又は収穫物の最初の処分が行われた日及び国又はそのような処分がなされていないことの宣言
    (g)本細則18条3項に定める出願のなされた当局の名称と出願の事件番号
    (h)存在している国内の植物品種保護の権利又は共同体の域内で有効な品種の特許

  3. 植物品種庁は、期限を指定して、技術的審査の実施のために、必要な情報及び書類作成並びに必要な場合には十分な描写又は写真を求めることができる。

  4. 関係する品種が指令2001/18号2条2項にいう遺伝子改変がなされた有機体を示している場合には、植物品種庁は、基本規則55条及び56条に基づく当該品種の技術的審査が同指令の規範によれば環境への危険を伴わないことを内容とする管轄当局の証明書の写しを送付するよう出願人に求めることができる。

 

20条   優先権の主張

出願人が基本規則52条2項にいう出願の優先権を主張するが、本細則18条3項第1段落に従い示される出願のうち最も先行する出願でない場合には、植物品種庁は、優先日はより先行する出願に対してのみ与えられることを述べる。植物品種庁が最も先行する出願ではない出願について、出願の日を含む受理書を発行している場合には、通知された優先日は無効となる。

 

21条   手続中における共同体の植物品種保護の権利の資格

  1. 基本規則98条4項に定める請求に関する出願人に対する法的措置の開始が共同体の植物品種保護の権利の出願の登録簿に記載された場合には、植物品種庁は、出願手続を停止することができる。植物品種庁は、係属している手続を続ける予定日を定めることができる。

  2. 1項に定める法的措置について最終の決定又は他の終局の事実が共同体の植物品種保護の権利の出願の登録簿に記載された場合には、植物品種庁は、手続を再開する。植物品種庁は、より早い日に手続を再開することができるが1項で定めた日より前にすることはできない。

  3. 共同体の植物品種保護の権利の資格が植物品種庁との関係において他の者に有効に移転した場合には、最終の裁判が共同体の植物品種保護の権利の出願の登録簿に記載されたときから1か月以内に植物品種庁に通知することを条件として、その者は最初の出願人の出願を自己の出願として続行することができる。基本規則83条に従い支払われるべき手数料及び最初の出願人がすでに支払った手数料は、後続の出願人が支払ったものとみなす。

 

第2節 技術的審査の実施

22条   試験ガイドラインに関する決定

  1. 植物品種庁の長官の提案に基づき、運営評議会は、試験ガイドラインに関する決定を行う。決定の日及び関係する種は、87条に定める官報(Official Gazette)に公表する。

  2. 運営評議会の試験ガイドラインに関する決定がない場合には、植物品種庁の長官は、これに関する仮の決定を行うことができる。仮の決定は、運営評議会の決定の日に効力を失う。植物品種庁の長官の仮の決定が運営評議会の決定と異なる場合には、運営評議会の決定より前に開始された技術的審査は、その影響を受けない。運営評議会は、状況に応じて、これと異なる決定を行うことができる。

 

23条   植物品種庁の長官の権限

  1. 運営評議会は、試験ガイドラインに関する決定を行う場合には、植物品種庁の長官が品種に関する追加的な特性及びその表現を挿入する権限を含める。

  2. 植物品種庁の長官が1項に定める権限を行使する場合には、22条2項を準用する。

 

24条   植物品種庁による審査局の通知

基本規則55条3項に従い、植物品種庁は、審査局に品種に関する以下の書類の写しを送付する。

(a)出願書、技術上の質問表及び出願人が提出した技術的審査の実施のために必要な情報を含む追加の各文書

(b)本細則86条に従い出願人が記入した書面

(c)基本規則7条、8条及び9条に定める条件を満たしていないとする主張に基づく異議に関係する書類

 

25条   植物品種庁及び審査局の協力

技術的審査に責任を負う審査局の職員及び8条1項に従い任命された審査官は、技術的審査のすべての段階において協力する。協力は、少なくとも以下の点を含む。

(a)試験の場所の立入検査及び試験に用いる方法を含む技術的審査の実施の審査官による監視

(b)植物品種庁による他の調査に関係なく、過去における品種の処分の詳細に関する審  査局からの情報

(c)審査局から植物品種庁への各生育期間における中間報告の提出

 

26条   試験報告書の形式

  1. 基本規則57条に定める審査報告は、審査局の職員の責任者が署名し、また、基本規則57条4項に基づき植物品種庁が処分につき専権を有していることを明確に認識しているものとする。

  2. 1項の規定は、植物品種庁に提出されるすべての中間報告に準用する。審査局は、各中間報告の写しを出願人に発行する。

27条   他の審査報告

  1. 植物品種庁は、以下の内容を条件として、加盟国において基本規則55条1項に定める関係する種について責任を負う所轄局のいずれかが公的な目的のために実施した又は実施している技術的審査の結果に関する審査報告をもって決定するための十分な根拠を構成すると認めることができる、ただし
    (a)技術的審査のために提出された素材が質及び量において基本規則55条4項に従い定める基準に適合していること。
    (b) 技術的審査が基本規則55条1項に基づく運営評議会の指定に沿う方法により実施され、かつ、基本規則56条2項並びに本細則22条及び 23条に従い発行された試験ガイドライン及び概括的な指示に従い実施されたこと。
    (c)植物品種庁が関係する技術的審査の実施を監視する機会があったこと。
     最終報告が直ちに得られない場合には、審査報告に先行して植物品種庁に各生育期間における中間報告がなされていること。

  2. 1項に定める審査報告が決定のための十分な根拠を構成すると認めない場合には、植物品種庁は、出願人及び関係する審査局に諮問した後に基本規則55条に定める手続に従うことができる。

  3. 植物品種庁及び加盟国の管轄権を有する各植物品種庁は、申出に基づきその品種の区別性、均一性及び安定性を評価するために品種の審査報告を提供することにより互いに行政上の補助をする。植物品種庁又は加盟国の管轄権を有する植物品種庁は、報告の提出に対して特定額を課する。その額は関係する機関が合意する。

  4. 植物品種庁は、技術的審査が植物品種庁とその第三国の管轄当局との間の書面による合意に定められた条件に適合していることを条件として、UPOVの同盟国である第三国が公的な目的のために実施した又は実施している技術的審査の結果に関する審査報告をもって決定のための十分な根拠を構成すると認めることができる。書面による合意の条件は、少なくとも以下の事項を含む。
    (a)1項(a)に定める素材に関する事項。
    (b)技術的審査が基本規則56条2項に従い発行された試験ガイドライン又は一般的な指示に従い実施されたこと。
    (c)植物品種庁が関係する種の技術的審査を実施する施設の適切性を評価し、また、関係する技術的審査の実施を監視する機会があったこと。
    (d)1項(d)に定める報告の入手に関する事項。

 

第3節 品種の名称

28条   品種の名称の提案

品種の名称の提案は、署名して、かつ、植物品種庁に提出し、または、その提案が基本規則30条4項に従い付託された国内担当機関又は設立された付属庁への共同体の植物品種保護の権利の出願とともになされる場合にはその副本を提出しなければならない。

植物品種庁は、品種の名称の提案のためのひな形を無料で入手できるようにする。

品種の名称の提案が電磁的な方法で提出される場合には、署名に関しては、本細則57条3項第2段落に従う。

 

29条   提案の審査

  1. 提案が共同体の植物品種保護の権利の出願とともにされるのでない場合又は提案された名称が植物品種庁により承認されなかった場合には、植物品種庁は、遅滞なくこれを出願人に連絡し、提案又は新たな提案をするよう求め、かつ、これを懈怠した場合の結果を示す。

  2. 基本規則57条1項に基づく技術的審査の結果を受理したときに出願人が品種の名称の提案を提出していないと判断した場合には、植物品種庁は、基本規則61条1項(c)に従い、遅滞なく共同体の植物品種保護の権利の出願を拒絶する。

 

30条   品種の名称についてのガイドライン

運営評議会は、基本規則63条3項及び4項に定める品種の名称の一般的な指定の障害を定める統一的かつ確定的な基準を設定するガイドラインを採択する。

 

第2章 異議

31条   異議の申立て

  1. 基本規則59条に基づく異議には、以下の事項を含める。
    (a)異議を申し立てる出願人及び出願の事件番号
    (b)本細則2条に定める手続当事者としての異議申立人の名称
    (c)異議申立人者が手続上の代理人を選任した場合には、その氏名及び住所
    (d)基本規則59条3項に定める異議の根拠となる主張並びに特に提出された異議を裏付ける証拠の細目及び主張

  2. 同一の共同体の植物品種保護の権利の出願に対して複数の異議が申し立てられた場合には、植物品種庁は、これらの異議を一つの手続において取り扱うことができる。

 

32条   異議の却下

  1. 異議が基本規則59条1項及び3項又は本細31条1項(d)に適合していない又は異議申立の対象とした出願の十分な特定がなされていないと判断した場合には、植物品種庁は、指定することのできる期限内にその不備が補正されない限り、認められないものとして異議を却下する。

  2. 異議が基本規則又は本細則の他の規定に適合していないと認めた場合には、植物品種庁は、異議申出期間内にその不備が補正されない限り、認められないものとして異議を却下する。

 

第3章 共同体の植物品種保護の権利の維持

33条   基本規則64条3項に基づく保有者の義務

  1. 保有者は、基本規則64条3項に従い品種が変更なく存続しているかを評価するために必要な情報を提供するために、関係する品種の素材及びその品種が保管されている場所の調査を許さなければならない。

  2. 保有者は、基本規則64条3項に定める適正な方法の検証を容易にするために書面による記録を保管することを求められる。

 

34条   保護品種の技術的検証

基本規則87条4項にかかわらず、保護品種の技術的検証は、その品種に関して共同体の植物品種保護の権利が与えられたときに正式に適用されている試験ガイドラインに従い実施する。本細則22条及び24条ないし27条は、植物品種庁、審査局及び保有者に準用する。

 

35条   技術的検証に使用する他の素材

基本規則64条3項に従い保有者が品種の素材を提出したときは、審査局は、植物品種庁の同意を得て、保有者が生産している素材から採取された他の素材、保有者が販売した他の素材若しくは保有者の同意を得て又は加盟国の公的機関がその権限により取得した他の素材を調査して提出された素材を検証することができる。

 

36条   品種の名称の改訂

  1. 基本規則66条に従い品種の名称が変更されなければならない場合には、植物品種庁は、保有者にその理由を連絡し、保有者が適切な変更後の品種の名称を提案するための期限を指定し、かつ、その提案をしなかった場合には基本規則21条に従い共同体の植物品種保護の権利が取り消され得ることを述べる。

  2. 変更された品種の名称の提案を承認しなかった場合には、植物品種庁は、遅滞なく保有者に通知し、再度保有者が適切な提案をするための期限を指定し、かつ、その提案をしなかった場合には基本規則21条に従い共同体の植物品種保護の権利が取り消され得ることを述べる。

  3. 本細則 31条及び32条は、基本規則66条3項に基づき申し立てられた異議に準用する。

  4. 品種の名称の変更の提案が電磁的な方法で提出される場合には、署名に関しては、本細則57条3項第2段落に従う。

 

第4章  植物品種庁が付与する共同体の実施権

第1節  基本規則29条に基づく強制実施権

37条   強制実施権の申立て

  1. 基本規則29条1項、2項及び5項に基づく強制実施権の申立てには、以下の事項を含める。
    (a)手続当事者となる申立人及び相手方となる関係する品種の保有者の名称
    (b)関係する品種の名称及び植物種
    (c)強制実施権に含まれる行為の種類の提案
    (d)主張される公共の利益を裏付ける事実、証拠の細目及び主張の詳細を含む関係する公共の利益に関する主張
    (e)基本規則29条2項に定める申立ての場合には、事案に応じた一定範囲の者に関係する特定の要件を含む強制実施権を与える一定範囲の者の提案
    (f)公正な代償及びその代償の計算根拠の提案

  2. 基本規則29条5a項に基づく強制実施権の申立てには、以下の事項を含める。
    (a)手続当事者となる特許保有者である申立人及び相手方となる関係する品種の権利の保有者の名称
    (b)関係する品種の名称及び植物種
    (c)植物技術上の発明に対する特許の番号及び請求項並びにその特許を付与した管轄当局を示す特許証明書の認証された写し
    (d)強制実施権に含まれる行為の種類の提案
    (e)公正な代償及びその代償の計算根拠の提案
    (f)主張を裏付ける事実、証拠の細目及び主張の詳細を含む植物技術上の発明が保護品種と比較して相当の経済的利益に関する重要な技術上の進歩を構成していることの説明に関する主張
    (g)(c)に定める特許の地理的範囲を超えない範囲での実施権の地理的範囲の提案

  3. 基本規則29条5a項第2段落に基づく相互実施権の申立てには、以下の事項を含める。
    (a)手続当事者となる特許保有者である申立人及び相手方となる関係する品種の権利の保有者の名称
    (b)関係する品種の名称と植物種
    (c)植物技術上の発明に対する特許の番号及び請求項並びにその特許を付与した管轄当局を示す特許証明書の認証された写し
    (d)特許とされた植物技術上の発明の強制実施権が植物品種保護の権利の保有者に付与されたことを示す公的文書
    (e)相互実施権に含まれる行為の種類の提案
    (f)公正な代償及びその代償の計算根拠の提案
    (g) (c)に定める特許の地理的範囲を超えない範囲での実施権の地理的範囲の提案

  4. 強制実施権の申立ては、契約上の実施権を得るために植物品種保護の権利の保有者に申し込んだが成功しなかったことを証拠付ける書類を付して行う。

  5. 前項の契約上の実施権の申出は、以下の場合に4項にいう成功しなかった場合とみなされる。
    (a)合理的な期間内に相手方である保有者が契約上の実施権を求める者に対して最終的な返答をしなかった場合。
    (b)相手方である保有者が実施権を求める者に対して実施権の付与を拒否した場合。
    (c)相手方である保有者が支払われるべき特許権使用料に関係する事項を含む基本的条件について明らかに不合理な又は全体として明らかに不合理な条件を提案した場合。

 

38条   強制実施権の申立ての審査

  1. 口頭手続及び証拠調べは、原則として、一回の審理で併せて行う。

  2. 審理の間又はその後の状況の変化に基づく申立てを除き、さらなる審理の申立ては認められない。

  3. 植物品種庁は、決定を行う前に、契約上の実施権に関する友好的な和解をするよう関係する当事者に勧告する。適切な場合には、植物品種庁は、和解案を提案する。

 

39条   手続中の共同体の植物品種保護の権利の保有

  1. 保有者に対する基本規則98条1項に定める請求に関する法的措置の開始が共同体の植物品種保護の権利の登録簿に登録された場合には、植物品種庁は、強制実施権の付与に関する手続を停止することができる。植物品種庁は、当該措置に関する最終の裁判又は他の終了の事由が登録簿に登録されるまで、手続を再開してはならない。

  2. 共同体の植物品種保護の権利の移転が植物品種庁を拘束する場合に、植物品種庁から新たな保有者の氏名が共同体の植物品種保護の権利の登録簿に登録されたことの連絡を受領したときから2か月以内に申立人が新たな保有者から実施権の付与を受けることができなかった場合には、新たな保有者は、申立人の申出に基づき、当事者として手続に参加する。申立人による申出は、実施権の付与を受けるための試みが不成功に終わったことに関する及び適切な場合には新たな保有者の対応に関する十分な書証を付して行う。

  3. 基本規則29条2項に定める申立ての場合には、新たな保有者は、当事者として手続に参加する。本条1項は適用しない。

 

40条   申立てに対する決定の内容

決定書には、植物品種庁の長官が署名する。決定には、以下の事項を含める。

(a)植物品種庁が決定を言い渡したこと

(b)決定の日

(c)手続に参加した委員会の委員の氏名

(d)手続当事者及びその手続上の代理人の氏名

(e)運営評議委員会の意見への言及

(f)決定されるべき事項

(g)事実の要旨

(h)決定の理由

(i)植物品種庁の命令。必要な場合には、命令には、強制実施権に含まれる特定の行為、強制実施権に関する特定の条件及び適切な場合には一定範囲に関する特定の要件を含む一定範囲の者を含める。

 

41条   強制実施権の付与

  1. 基本規則29条1項、2項及び5項に従い強制実施権を付与する決定には、関係する公共の利益に関する申述を含める。

  2. 以下の理由は、特に公共の利益となり得る。
    (a)人間、動物又は植物の生命又は健康の保護
    (b)特定の特徴を提供する素材を市場に供給する必要
    (c)改良品種の継続的な育成の意欲を維持する必要

  3. 基本規則29条5a項に従い強制実施権を付与する決定には、発明が相当の経済的利益に関する重要な技術上の進歩を構成していることの申述を含める。以下の理由は、特に発明が保護品種と比較して相当の経済的利益に関する重要な技術上の進歩を構成していることの説明となり得る。
    (a)栽培技術の改良
    (b)環境の改良
    (c)遺伝的生物多様性の使用を促進する技術の改良
    (d)品質の改良
    (e)産出量の改良
    (f)抵抗力の改良
    (g)特定の気候及び/又は環境条件への適応性の改良

  4. 強制実施権は非独占とする。

  5. 強制実施権は、それを使用する企業の事業部分とともに、又は基本規則29条5項に定める状況においては本質的に由来する品種の権利の譲渡とともにする場合でなければ移転することができない。

 

42条   強制実施権を付与される者に関する条件

  1. 基本規則29条3項に定める他の条件にかかわらず、強制実施権を付与される者は、強制実施権を使用する適切な財政上及び技術上の能力を有しなければならない。

  2. 強制実施権に関する条件及びその決定に定める条件の遵守は、基本規則29条4項にいう「状況」とみなす。

  3. 植物品種庁は、申出の後2ヶ月以内に保有者がそれを拒絶し又は懈怠した場合を除き、強制実施権を付与される者が共同体の植物品種保護の権利の侵害に関する法的措置をとることができないことを定める。

 

43条   基本規則29条2項に基づき特定の要件を満たす一定範囲の者

  1. 基本規則29条2項に定める特定の要件を満たす一定範囲の者として強制実施権を使用しようとする者は、受取通知を付した登録書簡により植物品種庁及び保有者にその旨を宣言する。その宣言には、以下の事項を含める。
    (a)本細則2条に従い手続当事者に関して定めるその者の氏名及び住所
    (b)特定の要件を満たす事実に関する申述
    (c)実施される行為に関する申述
    (d)強制実施権を使用するための適切な財政上の資源を有することの保証及び技術上の能力に関する情報

  2. 前項に定める宣言に関する条件を満たしている場合には、植物品種庁は、申出に基づき、共同体の植物品種保護の権利の登録簿にその者を登録する。その者は、登録の前には強制実施権を使用することができない。この登録は、その者及び保有者に通知される。

  3. 42条3項は、本条2項に従い共同体の植物品種保護の権利の登録簿に登録された者に準用する。侵害行為に関する法的措置に関する裁判又は他の終了の事由は、他の登録された又は登録される者に対しても適用される。

 

第2節 基本規則100条2項に基づく実施権

44条   基本規則100条2項に基づく実施権

  1. 基本規則100条2項に定める新たな保有者への契約上の非独占的実施権の申出は、新たな保有者の氏名が共同体の植物品種保護の権利の登録簿に登録されたことの植物品種庁からの通知を受領したときから前の保有者の場合には2ヶ月以内に又は実施権を有していた者の場合には4ヶ月以内に行う。

  2. 基本規則100条2項に従い付与される実施権の申立ては、本条1項に定める申出が成功しなかったことを裏付ける書類を付して行う。本細則37条1項(a)、(b)、(c)及び5項、39条3項、40条、但し(f)を除く、41条3項及び4項並びに42条を準用する。

 

第3編 不服審判委員会における手続

45条 不服申立の通知の内容

不服申立の通知には、以下の事項を含める。

(a)2条に従い不服申立手続の当事者としての不服申立人の名称

(b)不服申立の対象とされた決定の事件番号及び決定の変更又は取消を求める範囲に関する申述

 

46条 不服申立の通知の受理

不服申立の通知を受領した場合には、植物品種庁は、不服申立手続の事件番号及び受領の日を記録し、かつ、不服申立人に不服申立の理由を述べる期限を通知する。この通知の省略を抗弁とすることはできない。

 

47条 不服申立手続の当事者としての参加

  1. 植物品種庁は、植物品種庁における手続に参加した手続当事者に対して、事件番号及び受領日を記録した不服申立の通知の写しを速やかに送付する。

  2. 1項に定める手続当事者は、不服申立の写しの送付から2ヶ月以内であれば、不服申立手続の当事者として参加することができる。

 

48条 植物品種庁の役割

  1. 基本規則70条1項に定める植物品種庁の構成体及び不服審判委員会の議長は、内部的な準備手続を定めて、移送後直ちに不服審判委員会が事件を審査できるようにする。議長は、事件の移送に先立ち、特に基本規則46条2項に従い他の2人の構成員を選任し、かつ、審査官を任命する。

  2. 事件の移送に先立ち、基本規則70条1項に定める植物品種庁の構成体は、不服申立手続の当事者から受領した書類の写しを他の不服申立手続の当事者に速やかに送付する。

  3. 植物品種庁の長官は、事件の移送に先立ち、89条に定める情報の公表を行う。

 

49条 認められないものとしての不服申立の却下

  1. 不服申立が基本規則の規定、特に67条、68条及び69条又は本細則の規定、特に45条に適合していない場合には、不服審判委員会は、不服申立人にその旨を通知し、かつ、指定することのできる期限内に可能であれば不備を補正するよう求める。不服申立が適切な時期に補正されない場合には、不服審判委員会は認められないものとしてこれを却下する。

  2. 植物品種庁の決定に対して不服申立がなされ、かつ、その決定に対して同様に基本規則74条に基づく訴訟が申し立てられる場合には、不服審判委員会は、直ちに不服申立人の同意を得て欧州共同体の司法裁判所への訴訟として不服申立を提出する。不服申立人が同意しない場合には、不服審判委員会は、認められないものとして不服申立を却下する。不服申立が司法裁判所へ提出された場合には、不服申立は、本細則46条に基づき植物品種庁が受領した日に司法裁判所に申し立てられたものとみなす。

 

50条 口頭審理

  1. 事件の移送後、不服審判委員会の議長は、遅滞なく不服申立手続の当事者を基本規則77条に定める口頭審理に召喚し、かつ、本細則59条2項の内容について当事者に注意喚起を行う。

  2. 口頭審理及び証拠調べは、原則として一回の審理で併せて行う。

  3. 審理の間又はその後の状況の変化に基づく申立てを除き、さらなる審理の申立ては認められない。

 

51条 不服申立の審査

他に定めがない限り、植物品種庁における手続に関する規定は、不服申立手続に準用する。手続当事者は不服申立手続の当事者として扱う(に読み替える)。

 

52条 不服申立に対する決定

  1. 不服申立に対する決定は、口頭審理の終結から3ヶ月以内に64条3項に定めるいずれかの方法により不服申立手続の当事者に書面にて送付される。

  2. 不服審判委員会の議長及び48条1項に従い任命された審査官は、決定に署名する。決定には、以下の事項を含める。
    (a)不服審判委員会が決定を言い渡したこと
    (b)決定の日
    (c)不服申立手続に参加した不服審判委員会の議長及び他の構成員の氏名
    (d)不服申立手続の当事者及びその手続上の代理人の氏名
    (e)決定されるべき事項
    (f)事実の要旨
    (g)決定の理由
    ​(h)必要な場合には、費用又は手数料の返還に関する決定を含む不服審判委員会の命令

  3. 不服審判委員会の書面による決定は、その申立ての期限とともにさらなる不服申立が可能であることの申述を付して行う。不服申立手続の当事者は、この申述の省略を抗弁とすることはできない。

 

第4編 手続に関する通則

第1章 決定、連絡及び書類

53条 決定

  1. 植物品種庁の決定は、基本規則35条に従い植物品種の長官により正式に権限を付与された職員が署名し、かつ、その氏名を記載する。

  2. 植物品種庁において口頭審理が開催される場合には、決定は口頭で行うことができる。その後、64条に従い書面による決定を手続当事者に送達する。

  3. 基本規則67条に基づく不服申立又は基本規則74条に基づく直接の訴訟の対象となる植物品種庁の決定は、不服申立又は直接の訴訟の申立ての期限とともに不服申立又は直接の訴訟の申述を付して行う。手続当事者は、この申述の省略を抗弁とすることはできない。

  4. 植物品種庁の決定における言語上の誤り、転写上の誤り及び明白な誤りは訂正する。

 

54条 共同体の植物品種保護の権利の証明

  1. 植物品種庁が共同体の植物品種保護の権利を付与した場合には、その旨の決定と共に付与を証する共同体の植物品種保護の権利の証明書を発行するものとする。

2. 植物品種庁は、権利保有者の要求により、欧州共同体の公式言語(複数も可)で共同体の植物品種保護の権利の証明書を発行するものとする。

3. 証明書の原本が紛失または毀棄された場合には、権利者の要求により、その写しを発行することができる。

 

55条 連絡

他に定めがない限り、植物品種庁及び審査局による連絡には、権限を有する職員の氏名を含める。

 

56条 聴聞の権利

  1. 求められた条件により決定を下すことができないと判断した場合には、植物品種庁は、手続当事者に不備を連絡し、かつ、指定することのできる期限内にその不備を補正するよう求める。適切な時期に不備が補正されなかった場合には、植物品種庁は、決定のための手続を進める。

  2. 手続当事者から意見を受領した場合には、植物品種庁は、他の手続当事者にその意見について連絡し、かつ、必要と判断する場合には指定する期限内に反論するよう求める。適切な時期に反論が提出されなかった場合には、植物品種庁は、その後に提出された文書を拒絶する。

 

57条 当事者が提出した文書

  1. 手続当事者による文書は、郵便、手渡し又は電磁的な方法により提出する。
    電磁的な方法による提出の詳細は、植物品種庁の長官が定める。

  2. 手続当事者が提出する文書の受領日は、植物品種庁の構内で現実に文書を受領した日又は電磁的な方法の場合には植物品種が電磁的に文書を受領した日とみなす。

  3. 付属書類を除き、手続当事者が提出する文書は、手続当事者又はその手続上の代理人が署名する。
    電磁的な方法により文書が提出される場合には、電磁的署名を含める。

  4. 文書が正式に署名されていない場合、受領した文書が不完全若しくは判読不能である場合又は判読しがたい場合又は文書の正確性に疑いがある場合には、植物品種庁は、送付者にその旨を通知し、かつ、1ヶ月以内に3項に従い署名された原本を提出し又は原本の写しを再送するよう求める。
    指定された期限が遵守された場合には、その文書が最初に提出された日を署名された文書又は再送された文書の受領日とみなす。

  5. 他の手続当事者及び関係する審査局に連絡しなければならない文書又は複数の共同体の植物品種保護の権利若しくは実施権の出願若しくは申立てに関係する文書は、十分な数の写しとともに提出する。不足する写しは、手続当事者の費用負担において提供される。

 

58条 書証

  1. 手続当事者が提出する最終の裁判及び決定(植物品種庁によるものを除く)の証拠又は他の書証は、認証されていない写しによって提出することができる。

  2. 1項に定める証拠の真正に疑いを有する場合には、植物品種庁は、原本又は認証された写しの提出を求めることができる。

 

第2章 口頭審理及び証拠調べ

59条 口頭審理への召喚

  1. 手続当事者を基本規則77条に定める口頭審理に召喚し、同条2項について注意を喚起する。手続当事者及び植物品種庁がより短い期間を承諾した場合を除き、召喚には少なくとも1ヶ月の期間をおかなければならない。

  2. 植物品種庁における口頭審理に適切に召喚された手続当事者が出頭しなかった場合には、その当事者不在のまま手続を進めることができる。

 

60条 植物品種庁による証拠調べ

  1. 植物品種庁が手続当事者または証人若しくは専門家の人証を聴取し又は調査を実施する必要があると認めるときは、その方法、証明すべき関連事実並びに聴取又は調査の日時及び場所を定めてその決定をする。手続当事者が証人及び専門家の人証を申し出た場合には、植物品種庁の決定には、申出をした手続当事者がその証人及び専門家の氏名及び住所を植物品種庁に知らせるべき期間を定める。

  2. 植物品種庁、手続当事者、証人及び専門家がより短い期間を承諾した場合を除き、証拠の提出のための召喚には少なくとも1ヶ月の期間をおかなければならない。召喚には以下の事項を含める。
    (a)特に命じられた調査の日時及び場所を示し、かつ、いずれの手続当事者、証人及び専門家を聴取するかに関する事実を記載した1項に定める決定の抜粋
    (b)手続当事者の氏名及び62条2項、3項及び4項の規定に基づき手続当事者、証人又は専門家が行使することのできる権利に関する事項
    (c)手続当事者、証人又は専門家がその居住国の管轄権を有する司法その他の機関により聴取されることを求めることができることの申述及び植物品種庁が定める期限内に植物品種庁に出頭するかどうかを通知するようにとの要請

  3. 手続当事者、証人又は専門家を聴取する前に、植物品種庁がそれらの者の居住国の管轄権を有する司法その他の機関に宣誓の下に又は他の拘束力ある形式により証言を再審査するよう求めることができることを手続当事者、証人又は専門家は通知される。

  4. 管轄権を有する司法その他の機関において証人又は専門家を聴取する場合には、手続当事者はその旨通知される。手続当事者は、出頭し、かつ、間接又は直接に証言する手続当事者、証人及び専門家に質問する権利を有する。

 

61条 専門家の関与

  1. 植物品種庁は、任命した専門家が作成する報告書の提出方法を定める。

  2. 専門家の職務委任には、以下の事項を含める。
    (a)職責の正確な説明
    (b)報告書の提出期限
    (c)手続当事者の氏名
    (d)62条2項、3項及び4項に基づき行使することのできる権利に関する事項

  3. 専門家の報告書のために、植物品種庁は、関係する品種の技術的審査を実施した審査局に、指示に従い資料を入手可能な状態にするよう求めることができる。必要な場合には、植物品種庁は、手続当事者又は第三者に資料を求めることもできる。

  4. 報告書の写し及び適切な場合にはその翻訳を手続当事者に提供する。

  5. 手続当事者は、専門家に異議を述べることができる。基本規則48条3項及び81条2項を準用する。

  6. 13条2項及び3項は、植物品種庁が任命した専門家に準用する。専門家の任命に際し、植物品種庁は、秘密保持の要件を通知する。

 

62条 証拠調べの費用

  1. 証拠調べは、これを求める手続当事者が、費用の見積りを参照して植物品種庁が定める額を予納することを条件とすることができる。

  2. 植物品種庁に召喚され出頭した証人及び専門家は、出張旅費について適切な額の支給を受ける権利を有する。

  3. 2項に基づき支給を受ける証人は得られたはずの収入について、審査局の職員以外の専門家は職務に対する手数料についてもまた支給を受ける権利を有する。これらの支払いは、証人については証拠調べの後に、専門家については職務が完了した後に行う。

  4. 2項及び3項並びに付属書類(Annex1)に定める詳細及び水準に従い支払われるべき額の支払いは、植物品種庁が行う。

 

63条 口頭審理及び証拠調べの議事録

  1. 口頭審理及び証拠調べの議事録には、口頭審理又は証拠調べの要旨、手続当事者の関係する主張、手続当事者、証人及び専門家の証言並びに調査の結果を記録する。

  2. 証人、専門家又は手続当事者の証言に関する議事録は、これらの者が検証できるように読み聞かせ又は閲覧させる。議事録には、この手続が実施されたこと及び証言者が議事録を承諾したことを記載する。証言者が承諾しなかった場合には、その者の異議を記載する。

  3. 議事録は、その作成者及び口頭審理又は証拠調べを実施した職員が書名する。

  4. 議事録の写し及び適切な場合にはその翻訳を手続当事者に提供する。

 

第3章 送達

64条 送達に関する総則

  1. 植物品種庁での手続において、植物品種庁から手続当事者に対する送達は、原本、認証されていない写し又はコンピュータから出力した書面のいずれかの形式で行う。相手方の手続当事者からの書類は、認証されていない写しの形式で送達することができる。

  2. 手続上の代理人が選任されている場合には、送達は、1項の規定に従い同人に行う。

  3. 送達は、以下のいずれかの方法により行う。
    (a)65条に従い郵便
    (b)66条に従い手渡し
    (c)67条に従い公示
    (d)電磁的又は他の技術的な方法
    植物品種庁の長官は、電磁的な方法による送達の詳細を定める。

  4. 基本規則79条に定める送達が行われるべき行為に関する書類又はその写しは、受取通知を付した登録郵便により行う。これは、植物品種庁の長官が定める電磁的な方法によることもできる。

 

65条 郵便による送達

  1. 共同体に居住し又は拠点の所在地若しくは事業の設立地を有さず、かつ、基本規則82条に従い手続上の代理人を選任していない者に対する送達は、普通郵便により植物品種庁に知れた最終の住所へ宛てて書類を郵送して行う。

  2. 登録郵便により送達が行われた場合には、受取通知を付したか否かにかかわらず、名宛人に書簡が届かなかった又は後の日に届いたという場合でない限り、郵送から10日目に送達されたものとみなす。

  3. 登録郵便による送達は、受取通知を付したか否かにかかわらず、名宛人が受領を拒み又は受領したことを認めることを拒む場合であっても、送達されたものとみなす。

  4. 1項、2項又は3項に該当しない場合には、郵便による送達は、送達が行われた地域の国の法律を適用する。

 

66条 手渡しによる送達

植物品種庁の構内において、書類の送達は、手渡しの際に受領したことを認める名宛人に手渡して行うことができる。送達は、名宛人が受領を拒み又は受領したことを認めることを拒む場合であっても、送達されたものとみなす。

 

67条 公示送達

名宛人の住所が不明である場合又は植物品種庁による二度目の試みの後になお64条4項に基づく送達が不可能と判明した場合には、送達は、基本規則89に定める定期刊行物において発せられる公示により行う。植物品種庁の長官は、公示を発する詳細を定める。

 

68条 送達の不備

植物品種庁が名宛人に届けられた書類が適切に送達されたと証明できない場合又は送達に関する規定が遵守されなかった場合には、植物品種庁が受領の日として定める日に送達されたものとみなす。

 

第4章 手続の期限及び停止

69条 期限の計算

  1. 期限は、年、月、週又は日として定める。

  2. 期限は、関係する出来事、すなわち行為又は他の期限の満了の翌日から進行する。他に定めがない限り、行為が送達を伴う場合には、送達された書類の受領をもって出来事とする。

  3. 2項の規定にかかわらず、行為が67条に定める公示、関係する者に送達されない植物品種庁の決定又は公表される手続当事者の行為である場合には、期限は、関係する行為の公表の日の15日目から進行する。

  4. 期限が年をもって示されている場合には、期限は、関係する後続の年において出来事が生じたのと同じ月及び日に満了となる。関係する後続の月に同じ日がない場合には、期限は、その月の最終の日に満了となる。

  5. 期限が月をもって示されている場合には、期限は、関係する後続の月において出来事が生じたのと同じ日に満了となる。関係する後続の月に同じ日がない場合には、期限は、その月の最終の日に満了となる。

  6. 期限が週をもって示されている場合には、期限は、関係する後続の週において出来事が生じたのと同じ曜日に満了となる。

 

70条 期限の期間

基本規則又は本細則に基づき植物品種庁が期限を定めるべき場合には、期限は1か月を超えかつ3か月を超えない範囲で定める。一定の特別の場合には、その満了の前の申出に基づき6か月を限度として期限を延長することができる。

 

71条 期限の延長

  1. 植物品種庁が書類の受領をしていない日又は2項に定める以外の理由により通常郵便が植物品種庁の所在する地において配達されない日に満了となる場合には、その後に植物品種庁が書類を受領し、かつ、通常郵便が配達される最初の日まで期限を延長する。第1文に定める日は、各暦年の開始前に植物品種庁の長官が示しかつ連絡する。

  2. 加盟国における又は加盟国と植物品種庁との間における郵便の配達に一般の障害又はその後の混乱が存在する場合には、関係する加盟国に居住し又は拠点の所在地若しくは事業の設立地を有する手続当事者又は関係する加盟国に拠点の所在地を有する手続上の代理人を選任した手続当事者について郵便の配達における混乱又は障害が消滅した後の最初の日まで期限を延長する。
    第1段落は、植物品種庁の電磁的な連絡の方法に障害が存在する場合には、電磁的な方法により提出された書類に準用する。

  3. 1項及び2項は、基本規則30条4項に従い指定された国内担当機関または付属庁又は審査局に準用する。

 

72条 手続の停止

  1. 植物品種庁における手続は、以下の場合に停止する。
    (a)共同体の植物品種保護の権利の出願人若しくは保有者、植物品種庁により付与される実施権の申立人若しくはその実施権者又はこれらの者の手続上の代理人の死亡又は法的無能力の場合
    (b)これらの者の財産に対して法的措置が取られたことに基づき、これらの者の植物品種庁における手続の継続について、法的障害が続発する場合

  2. 手続当事者又は手続上の代理人として手続を継続する権限を有する者の特定に関して必要な事項が関係する登録簿に登録された場合には、植物品種庁は、その者及び他の当事者に植物品種庁が定める日から手続が再開されることを通知する。

  3. 期限は、手続が再開される日から再度進行する。

  4. 関係する手数料がすでに支払われている場合には、手続の停止は、審査局による関係する品種の技術的審査又は検証の遂行に影響しない。

 

第5章 手続上の代理人

73条 手続上の代理人の選任

  1. 手続上の代理人を選任した場合には、植物品種庁に通知する。通知には、手続上の代理人の氏名及び住所を含める。2条2項及び3項を準用する。

  2. 2条4項にかかわらず、1項に定める通知には、手続当事者の従業員を特定する。従業員を基本規則82条にいう手続上の代理人として選任することはできない。

  3. 1項及び2項の規定に従わない場合には、通知は受領されなかったものとみなす。

  4. 任務を終了した手続上の代理人は、植物品種庁にその旨の通知があるまでは手続上の代理人とみされる。他に規定がない限り、任務は、委任者の死亡により植物品種庁との関係において終了する。

  5. 共通の利益において行為する複数の当事者がいる場合に、植物品種庁にその手続上の代理人が通知されていない場合には、共同体の植物品種保護の権利の出願若しくは植物品種庁が付与する実施権の申立て又は異議において最初に言及された手続当事者は、他の手続当事者の手続上の代理人として選任されたものとみなす。

 

74条 手続上の代理人の委任状

  1. 植物品種庁に手続上の代理人の選任をする場合には、他に定めがない限り、植物品種庁が指定する期限内に、記録に編綴するために必要な署名された委任状を提出する。期限内に委任状が提出されなかった場合には、手続上の代理人が講じた措置は、いずれもなされなかったものとみなす。

  2. 委任状は、複数の手続を含めることができ、対応する部数の写しを提出する。委任者のすべての手続において代理人として行為することを可能にする包括的な委任状を提出することもできる。包括的な委任を示す一通の書面で足りる。

  3. 植物品種庁の長官は、 2項に定める包括委任状を含め、委任状のひな形の内容を決定し、そのひな形を無償で入手できるようにすることができる。

 

第6章 費用の負担及び決定

75条 費用

  1. 費用に関する決定は、共同体の植物品種保護の権利の無効若しくは取消に関する決定又は不服申立に対する決定においてなされる。

  2. 基本規則85条に基づく費用の決定の場合には、植物品種庁は、共同体の植物品種保護の権利の無効または取消に関する決定もしくは不服申立に対する決定の理由に関する申述においてこれを定める。手続当事者は、その省略を抗弁とすることはできない。

 

76条 費用の決定

  1. 費用の決定の申出は、その決定が求められる決定がなされた場合及びそのような決定に対する不服申立の場合に不服審判委員会がその不服申立に関する決定を行った場合に限り認められる。この申出は、請求書とそれを裏付ける書類を付して行う。

  2. 費用は、その信用性が認められた場合に決定することができる。

  3. 一方の手続当事者が他方の手続当事者の費用を負担する場合には、4項に定める費用以外の費用を支払うことを要しない。勝った手続当事者が複数の代理人、アドバイザー又は弁護士によって代理されている場合には、負けた当事者は、その1人分のみ4項に定める費用を負担する。

  4. 手続に必要な費用は以下の費用を含む。
    (a)植物品種庁が関係する証人又は専門家に支払った証人または専門家の費用
    (b)付属書類(Annex1)に定める証人及び専門家に適用される、関係する水準の範囲内において、手続当事者及び植物品種庁における手続上の代理人として正式に選任された代理人、アドバイザー又は弁護士の出張旅費
    (c)付属書類(Annex1)に定める水準の範囲内において、植物品種庁における手続上の代理人として正式に選任された代理人、アドバイザー又は弁護士の報酬

 

77条 費用の合意

基本規則85条4項に定める費用の合意がなされた場合には、植物品種庁は、手続当事者への通知においてその合意を承認する。その通知が支払われるべき費用の額に関する合意をも承認する場合には、費用の決定を要請する申出は認められない。

 

第5編 公開される情報

第1章 登録、公衆の閲覧及び公表

第1節 登録

78条 登録簿に登録される手続及び共同体の植物品種保護の権利に関する記載

  1. 以下に定める基本規則87条3項にいう「他の事項」は、共同体の植物品種保護の権利の出願の登録簿に登録する。
    (a)公表が期限の計算に関係する場合には、公表の日
    (b)異議申立の日並びに異議申立人及びその手続上の代理人の氏名及び住所とともに異議申立
    (c)優先日(先行する出願の日及び国)
    (d)共同体の植物品種保護の権利の資格に関する基本規則98条4項及び99条に定める請求に関する行為の開始及びその行為に関する最終の決定又はその終了

  2. 以下に定める基本規則87条3項にいう「他の事項」は、申出に基づき、共同体の植物品種保護の権利の登録簿に登録する。
    (a)担保又は他の物権の目的物として共同体の植物品種保護の権利を提供していること
    (b)基本規則98条1項及び2項並びに99条に定める共同体の植物品種保護の権利に関する請求に関する法的措置の開始及びその措置に関する最終の決定又はその終了

  3. 植物品種庁の長官は、登録の詳細を決定するものとし、また、植物品種庁の運営のために登録簿に登録されるべきさらなる事項を決定することができる。
    植物品種庁の長官は、登録簿の形式を決定する。登録簿は、電磁的なデータベースの形式で維持することができる。

 

79条 共同体の植物品種保護の権利の譲渡の登録

  1. 共同体の植物品種保護の権利の譲渡は、譲渡に関する書証、移転を承認する公的な書類又は移転を認めるのに十分な書類の抜粋の提出を受けて、共同体の植物品種保護の権利の登録簿に登録する。植物品種庁は、その書証の写しを記録に保管する。
    植物品種庁の長官は、植物品種庁の記録に保管される書証の形式及び条件を定める。

  2. 譲渡の登録は、前項及び基本規則23条に定める条件に適合しない場合に限り、拒絶することができる。

  3. 1項及び2項は、共同体の植物品種保護の権利の出願の登録簿に登録されている出願にかかる共同体の植物品種保護の権利の資格の譲渡に準用する。共同体の植物品種保護の権利の登録簿とあるのは、共同体の植物品種保護の権利の出願の登録簿と読み替える。

 

80条 登録簿における登録の条件

基本規則及び本細則の他の規定にかかわらず、登録簿における登録又は登録の抹消の申出は、利害関係人において行うことができる。申出は、裏付ける書類を付して書面により行う。

 

81条 登録簿における特定の登録の条件

  1. 出願された又は付与された共同体の植物品種保護の権利が破産又は同様の手続に関係している場合には、植物品種庁は、管轄権を有する国内当局の申出に基づき、共同体の植物品種保護の権利の登録簿に無償でその旨を登録する。この登録は、管轄権を有する国内当局の申出に基づき、無償で抹消される。

  2. 1項は、基本規則98条及び99条に定める請求に関する行為の開始及びその行為に関する最終の決定又はその終了に準用する。

  3. 品種が原種及び本質的に由来する品種としてそれぞれ特定される場合には、すべての手続当事者により共同で又は個別に登録の申出をすることができる。一手続当事者のみからの申出の場合には、申出は、他の当事者の申出に代わる基本規則87条2項(h)に定める行為に関する十分な書証を付して行う。

  4. 契約上の独占的実施権又は担保若しくは他の物権の主体として与えられた共同体の植物品種保護の権利の登録の申出の場合には、十分な書証を付して行う。

 

82条 登録簿の公衆の閲覧

  1. 登録簿は、植物品種庁の構内において公衆の縦覧に供する。
    登録簿及び保管されている書類へのアクセスは、84条にいう植物品種庁が保管する書類へのアクセスと同様の条件に基づき認める。

  2. 登録簿の現地における閲覧は無償とする。
    書類の全部又は一部の単純な複製以外の情報の処理又は操作を要する形式での登録簿の抜粋の作成及び交付は手数料の支払いを条件とする。

  3. 植物品種庁の長官は、基本規則30条4項に定める国内担当機関又は指定した付属庁の構内において、登録簿を公衆の縦覧に供することができる。

第2節 書類の保管並びに書類及び成長した品種の公衆の閲覧

83条 記録の保管

  1. 手続に関する書類は、原本又は写しの形式において、手続の事件番号を付して記録に保管する。但し、不服審判委員会の委員又は植物品種庁若しくは審査局の職員に対する排除又は異議に関する書類は別に保管する。

  2. 植物品種庁は、1項に定める(記録の写し)を一部保管する。記録の写しは、真正かつ完全な記録の写しとみなす。審査局は、その手続に関する書類の写し(審査の写し)を保管することができる。但し、植物品種庁が保管していない原本を確実に引き渡す。

  3. 電磁的な記録の基礎となる手続当事者が提出した書類の原本は、植物品種庁が受領してから一定期間の経過の後に処分することができる。

  4. 植物品種庁の長官は、記録の保管形式、記録の保管期間及び3項に定める期間の詳細を決定する。

 

84条 植物品種庁が保管する書類へのアクセス

  1. 運営評議会は、登録簿を含め、植物品種庁が保管する書類へのアクセスの実務的な取り決めを採択する。

  2. 運営評議会は、電磁的な方法による公表を含め、公表の形式により公衆が直接にアクセスすることのできる植物品種庁の書類の範囲を採択する。

 

85条 品種の成長の閲覧

  1. 品種の成長の閲覧に関する申出は、植物品種庁に対して書面で行う。審査局は、植物品種庁の同意を得て、試験地区へのアクセスを調整する。

  2. 基本規則88条3項にかかわらず、試験地区への訪問客による一般的なアクセスは、本細則の規定に影響されない。但し、すべての成長した植物品種が符号を付されていること、付託された審査局が素材の除去に対する適切な措置を講じ、かつ、植物品種庁がそれを承認したこと及び共同体の植物品種保護の権利の出願人又は保有者の権利を守るためのすべての必要な措置が講じられていることを条件とする。

  3. 植物品種庁の長官は、品種の成長に関する閲覧の手続の詳細を定め、また、2項に基づき定められるセーフガードを再検討することができる。

 

86条 秘密情報

情報を秘密として維持するために、植物品種庁は、基本規則88条3項に定める構成要素に関するすべての情報を閲覧の対象外とする申出のために植物品種保護の権利の出願人が使用するひな形を無償で入手できるようにする。

 

第3節 公表

87条 官報(Official Gazette)

  1. 基本規則89条に従い2ヶ月毎に発行する刊行物は、共同体の植物品種庁の官報(以下「官報」という。)と称する。

  2. 官報には、78条1項(c)及び(d)、78条2項並びに79条に従い登録簿へ登録された情報を含める。

  3. 植物品種庁の長官は、官報の刊行の方法を定める。

 

88条 植物品種庁が付与する実施権の申立て及びその決定の公表

植物品種庁が付与する実施権の申立ての受領及びその決定の言渡しの日、手続当事者の氏名及び住所並びに求められた命令又はその決定の形式は、官報に掲載して公表する。強制実施権を付与する決定の場合には、その決定の内容も同様に公表する。

 

89条 不服申立及びその決定の公表

不服申立の通知の受領及びその決定の言渡しの日、不服申立手続の当事者の氏名及び住所並びに求められた命令又はその決定の形式は、官報に掲載して公表する。

 

第2章 行政及び司法上の協力

90条 情報の交換

  1. 基本規則90条に従い交換される情報は、同条に定める当局の間で直接に行う。

  2. 基本規則91条1項に定める植物品種庁による又は植物品種庁に対する情報の連絡は、加盟国の管轄当局を通じて無償で行うことができる。

  3. 2項は、基本規則91条1項に定める審査局に対する又は審査局による情報の連絡に準用する。植物品種庁は、これらの連絡の写しを受領する。

 

91条 加盟国の裁判所又は検察庁による又はそれらを通じての調査

  1. 基本規則91条1項に基づく記録の調査は、その目的のためだけに植物品種庁が作成した記録の写しの調査とする。

  2. 加盟国の裁判所又は検察庁は、その手続の途中で、第三者による調査のために植物品種庁から送付された書類を開示することができる。これらの調査は、基本規則88条の条件に従う。植物品種庁は、そのために手数料を課してはならない。

  3. 植物品種庁は、加盟国の裁判所又は検察庁に記録を送付するときに、基本規則88条に従い、共同体の植物品種保護の権利の出願又は付与に関係する書類の調査が従うべき制限を示す。

 

92条 書簡による嘱託の手続

  1. 各加盟国は、植物品種庁が発行する書簡による嘱託を受領し、また、それを実施する管轄権を有する裁判所又は当局に書簡を送付する役割を担う中央当局を定める。

  2. 植物品種庁は、管轄権を有する裁判所又は当局の言語によって書簡による嘱託を作成し又はその言語での翻訳を添付する。

  3. 4項及び5項に従い、管轄権を有する裁判所又は当局は、申出を実施する際に準拠すべき手続については自国の法律を適用する。特に、その法律に従い適切な強制的措置を講じる。

  4. 植物品種庁は、尋問又は他の法的手続が行われる時間及び場所の通知を受け、関係する手続当事者、証人及び専門家に通知する。

  5. 植物品種庁が申し出た場合には、管轄権を有する裁判所又は当局は、植物品種庁の関係する職員の立会い、また、直接又は管轄権を有する裁判所若しくは当局を通じて証拠を提供する者に質問することを許可する。

  6. 書簡による嘱託の実施は、手数料その他いかなる種類の費用をも生じさせることはない。但し、書簡による嘱託を実施した加盟国は、植物品種庁に対し、専門家及び通訳人に支払う手数料及び5項の手続から生じた費用を償還するよう求めることができる。

 

第6編 最終規定

93条 

規則1239/95号は入れ替える。入れ替えた規則への言及は、本規則への言及として解釈し、付属書類3(Annex3)の相関関係表に従い解釈する。

 

94条 施行

本規則は、欧州連合のOfficial Journalへの掲載の20日後に施行する。

 

本規則は、すべての加盟国において、完全にかつ直接に拘束力を有する。

 

Annex 1

 

1. 62条2項に定める証人及び専門家に支払われるべき出張旅費は、以下のとおり計算する。

1.1 旅費

居住地又は拠点の所在地と口頭審理が開催され又は証拠調べがなされた場所の間の往復旅費について

(a)最短の鉄道ルートでの総距離が800キロメートル未満の場合は、通常の交通の補完を含む一等の鉄道料金

(b)最短の鉄道ルートでの総距離が800キロメートルを超える又は最短のルートに海路を要する場合には、ツーリストクラス(エコノミー)の航空料金

1.2 滞在費は、欧州共同体の公務員に関する職員規則Annex7の13条に定める公務員の滞在手当と同額が支払われる。

1.3 植物品種庁における手続に召喚される場合には、証人又は専門家は、召喚状とともに、1.1及び1.2に基づき支払われる額の詳細を含む旅行命令及び費用の前払いに関する請求書のひな形を受領する。前払いが行われる前に、証拠の取調べを命じた植物品種庁の職員又は不服申立手続の場合には担当する不服審判委員会の議長は、その者の資格を認証する。前払いの請求書は、認証のために植物品種庁に返送する。

2. 62条3項に定める得られたはずの収入に関しては、以下のとおり計算されるものとする。

2.1 証人が合計12時間以内の時間拘束される場合には、植物品種庁の等級AD12の最低段階の従業員の基本月給の60分の1とする

2.2 証人が合計12時間を超える時間、拘束される場合には、その後12時間ごとに2.1に引用した基本月給の60分の1が追加される。

3. 62条3項に従った専門家の手数料は、関与した専門家の提案を勘案して事案ごとに決定されるものとする。植物品種庁は、提案された金額に対し、手続当事者の意見を聴いて決定することができる。専門家には、審査局の職員の一員でない補足的な資料を用いて証拠を提出した場合にのみ手数料が支払われる。

4. 2条、3条に定める証人、関与する専門家の得られたはずの収入については、証拠の採用を命じた植物品種庁の職員または不服申立手続の場合には、不服審判委員会による認証の後に支払われるものとする。

5. 76条3項及び76条4項(c)に定める手続当事者の代理人として行動する代理人、助言者、弁護士の報酬は、以下を上限として、相手方当事者が負担するものとする。

(a)証人の審問、専門家の意見または調査に関係する証拠の採用のための手続を除く不服申立手続の場合:500ユーロ

(b)証人の審問、専門家の意見または調査に関係する証拠の採用のための手続:250ユーロ

(c)共同体の植物品種保護の権利の取消に関する手続:250ユーロ

 

Annex 2

 

入れ替えられる規則及びその改正の一覧

 

 欧州委員会規則1239/95号     (O) L 121, 1.6.1995, p.37)

 欧州委員会規則448/96号       (O) L 62, 13.3.1996, p.3)

 欧州委員会規則2181/2002号    (O) L 331, 7.12.2002, p.14)

 欧州委員会規則1002/2005号    (O) L 170, 1.7.2005, p.7)

 欧州委員会規則355/2008号     (O) L 110, 22.4.2008, p.3)

 

 

Annex 3

 

条文の相関関係表

規則1239/95号

1条ないし14条

15条1項、2項及び3項

15条4項

15条5項及び6項

16条ないし26条

27条1項第1ないし第4インデント

27条2項及び3項

27条4項第1ないし第4インデント

28条ないし40条

41条第1文

41条1項ないし4項

42条ないし64条

65条2項ないし5項

66条ないし92条

93条1項

93条2項及び3項

94条

95条

Annex

1条ないし14条

15条1項、2項及び3項

15条5項及び6項

16条ないし26条

27条1項(a)ないし(d)

27条2項及び3項

27条4項(a)ないし(d)

28条ないし40条

41条第1項

41条2項ないし5項

42条ないし64条

65条1項ないし4項

66条ないし92条

15条4項

93条

94条

Annex 1

Annex 2及びAnnex 3

本規則

bottom of page